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人材の活躍と柔軟なプロジェクト組成を実現する「仕組み」を創る
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人材の活躍と柔軟なプロジェクト組成を実現する「仕組み」を創る

デジタル庁

デジタル庁で人事・組織開発を担当しています、唐澤(非常勤の民間人材)と津脇(行政官)です。デジタル庁が直面してきた組織課題とその背景、解決に向けた奮闘の様子をシリーズでお伝えします。今回はその第二回目として、民間専門人材の採用や組織設計についてご紹介します。


プロジェクト制とリソースマネージメント導入に向けたチャレンジ


メンバーシップ型雇用と
ジョブ型雇用の併存


2021年1月、デジタル庁発足の8か月前に、デジタル領域に専門性を持つ民間専門人材の公募第一弾を開始しました。

行政の中途採用に一度でもご関心を持たれて確認された方はご存じだと思いますが、一般に、PDFの募集要領、不明確な業務内容と採用条件、無駄に多い質問と提出資料、郵送かメール送付しか許さない応募方法など離脱率が高くならざるを得ない形式で、ウェブサイトの奥まったところに採用募集ページがあるため、そもそも辿り着けもしないというやる気を疑うものが多いです。

そうした中、デジタル庁は発足までに100名以上の優秀な民間専門人材をジョブ型で採用する必要があり、心を入れ替えて取り組みました。

ジョブディスクリプションの書き方から採用ページのUIや応募方法に至るまで、外部アドバイザー等の助言を踏まえて大きく変更するとともに、選考についても、役人だけの面接や判断から、民間の専門人材によるスキル判断を重視するプロセスにシフトしていきました。

募集職種も、ソフトウェアエンジニア、デザイナー、プロダクトマネージャーなど、多岐に渡る専門家のスキルを適切に評価する必要がある一方で、デジタル庁発足前は内部に募集職種の専門家が十分に存在しなかったことから、外部専門家による技術面接を導入しました。ご協力いただいた皆様には改めて御礼申し上げます。

デジタル庁発足後は、通年採用に踏み切り、関連イベント(Govtech Meetupなど)を積極的に開催して興味喚起を誘うとともに、スカウトなどの利用も試験的に開始し、継続的に採用を進めています。

ジョブ型での民間専門人材の採用を進める上で特に心がけていたことは、人材流動性の高さを前提とした雇用形態とすることです。

兼業・副業が社会に広がる中において、デジタルの専門家はフリーランスとして独立をしていたり、複数のプロジェクトに兼業しながら働いていたりというケースも多くあります。

そうした中で、デジタル庁のみで常勤として固定的に働いていただくことも歓迎していますが、週に3日や4日の非常勤という形態で、リモートベースも可能という、機動的に働ける環境を重視しました。

そうした結果、現在も多くの方に関心を持っていただいており(平均倍率20倍以上、オファー受諾率9割以上)、大変嬉しく思っております。

かくしてデジタル庁は、終身雇用・新卒一括採用を前提に配置転換しながら経験を積ませる「メンバーシップ型雇用」と職務内容に応じて適したスキルや経験を持った人を採用する「ジョブ型雇用」が併存する組織になりました。

ジョブ型雇用は民間でも広がっていますが、従来メンバーシップ型雇用で新卒中心の採用をしてきた組織においては、ある日全員がジョブ型に移行するというよりも、このように併存しながら組織運営を行うのが実態ではないかと思います。

デジタル庁においても、プロパーの新卒採用も始まり、役人や自治体研修員などのメンバーシップ型の人材と、全体の3分の1を占めるジョブ型の民間専門人材が混ざり合っており、それぞれの人材のパフォーマンスをどう引き出していくべきか、その難しさに直面しました。


プロジェクト制を前提に
中央省庁を
マトリクス組織にする


デジタル庁では、一人の職員がその専門性を活かして複数のプロジェクトや業務で活躍できるようにすることを前提に、いわゆる課室(「○○課」や「○○室」といった、業務を遂行する組織単位)が設定されていません。私たちも、異なるグループの複数のプロジェクトを担当し、複数のプロジェクト上の責任者が存在しています。

課室があると、課室内の複数業務を担当し、関係する他課室の人と連携することはあっても、プロジェクトの責任や一次情報の共有は課室に閉じてしまいがちです。

縦割りを打破し、課室を超えて、プロジェクト単位で多様なメンバーが活躍できるよう、このようなプロジェクト制を志向しているのですが、これにより課題も発生します。

普通の行政組織では人材が課室に貼りついているため、上長は1名であり明確でしたが、デジタル庁の場合、複数のプロジェクトを兼務しているため、どの業務の上長がメインで自分を評価し、業務量の調整など労務管理をしてくれるのかわからないという事態が発生してしまいがちでした。

フラットに多くのプロジェクトに参加し多くの人と仕事をしているけれど、「一体、誰が私を最終的に一番見てくれるのだろう、誰に相談したらいいのだろう」と孤独を生んでしまっていたのです。縦割り打破の弊害でした。

また、例えば官民混ざったシステム関連のプロジェクトにおいて責任者が行政官だった場合、メンバーのエンジニアリングスキルの評価やキャリア特性を踏まえたアドバイスができないなど、プロジェクトの責任者が専門家であるメンバーの評価者として適任でないという事象にも悩まされるようになりました。

それもそのはず、システム関連のプロジェクトでは、政策・企画を主に担当する行政官に加えて、プロジェクトマネージャーやデザイナー、ソフトウェアエンジニア、データアナリストといった、多岐にわたる専門家が一つのチームになって活動するからです。

このため、デジタル庁では、評価・労務管理等を行う「人材マネジメント」とプロジェクト推進の責任を負う「プロジェクトマネジメント」を別々のラインで行う、縦と横のマネジメントが交差する「マトリクス組織」を志向することとしました。

日本の行政組織としては恐らく初めての取り組みで、試行錯誤しながら、 官民ともに、プロジェクト(業務)上の上長とは別に人材マネジメント上の上長を一人設定し、人材マネジメントラインを明確化しました。

特に民間専門人材については、デザイナー・クラウドエンジニア・プロジェクトマネージャー・プロダクトマネージャーなどスキルセットベースのユニット制を取り入れし、スキルの専門性の高い民間専門人材がユニット長として人材マネジメントを行う仕組みを導入しました。

ユニット制とプロジェクトのマトリックス組織のイメージ図。縦に職能ごとのユニットが記載されておりユニット長がおり、横軸でプロジェクトが記載されており、プロジェクトリーダーが横断的にいる。
ユニット制とプロジェクトのマトリックス組織のイメージ図

ユニット区分も含め、まだまだ試行錯誤と改善が必要ですし、組織全体での理解が十分に浸透していない部分もあると思いますが、大きな枠組みとしては少しずつ機能し始めたところだと思っています。


プロジェクトへの
機動的なアサインのための
リソースマネジメントに挑戦する


「人材マネジメント」の次は、「プロジェクトマネジメント」についてです。

デジタル庁は、コロナ禍で顕在化したデジタル化における課題に一気に取り組むために創設されたため、政府の取組がそれまで不十分であった広範な課題に一気に取り組むこととなりました。

例えば、各府省の重要なシステムについての共同プロジェクトだったり、各府省のLANの統合、地方の基幹業務システムの標準化、ベースレジストリーの整備など包括的なデータ戦略、子供や教育などの準公共分野の課題への取組みなどです。

その結果、一気に膨大なプロジェクトを抱えることとなり、誰が担当で、どのような人材がどの程度不足しているのか、どんな新しい業務が生じているのか、全貌の把握が難しい状況となりました。

また個別の人材アサイン(配置)においても、例えば「デザイナーが必要です」と要望があっても、よくよく聞いてみるとデザイナーの意味がずれていて、「それならデザイナーではなく、むしろ(デザイン分野に詳しい)プロダクトマネージャーですね」といったことが発生したり、プロジェクト内容をよく確認せずに「エンジニアが必要です」と言われたのでアサインしたものの、外製中心で必要なかったりするなど、さまざまな課題にぶつかりました。

プロジェクトとそこに必要な人材要件を適切に定義・把握した上で、適切にアサインすることがいかに難しいかを痛感する日々でした。

ここに、メンバーシップ型とジョブ型の併存がさらに複雑さを加えます。通常の行政機関では、フルタイムの総合職が中心であるため、人手不足の部署にある程度柔軟に人員を配置することができますが、専門性を有する非常勤人材を多く抱えるデジタル庁では、勤務日数が人によって異なることを前提に、プロジェクト毎に専門性を考慮した適任者を機動的にアサインする仕組みが求められることになります。

そこで各プロジェクトのアサイン要求をスキルセット毎にFTE(Full-Time Equivalent、業務量をフルタイム勤務に換算)ベースで受け付ける仕組みを導入しました。

民間専門人材については、プロジェクトの重要度・緊急性や個人の希望等を踏まえつつ、内部人材の配置転換か新規採用かをユニット長と判断の上、比較的迅速に対応しており、第二回組織サーベイでの「スキル活用機会に対する満足度」は相対的に高いスコアとなりました。

アサインメント要求を行う管理画面のイメージ。プロジェクトID、プロジェクト、役割、人数、ステータスなどが管理できるようになっている。
アサインメント要求を行う管理画面のイメージ

今後は、霞が関全体の課題でもある行政人材不足の中、全体戦略を踏まえたメリハリのあるリソースマネジメントと、中長期的な事業計画に基づく必要人材の計画的な確保。さらには突発的に必要となるプロジェクトへの機動的なリソースアロケーションなどをどう実現するかがチャレンジだと思っています。

第3回につづく


デジタル庁組織改革の歩みシリーズ(全4回)


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