デジタル庁が直面してきた組織課題・改革。発足10ヶ月の歩み
デジタル庁で人事・組織開発を担当しています、唐澤と津脇です。
デジタル庁は、2020年9月に準備室が設置され、翌年5月にデジタル改革関連法が成立したことを受け、同2021年9月1日に約600名で立ち上げられた中央省庁です。
唐澤は2021年7月から組織作りに携わってきた非常勤の民間人材として、津脇は準備室設置当初から立上げに取り組んできた役人として、デジタル庁が直面してきた組織課題とその背景、解決に向けた奮闘の様子をお伝えできればと思います。
デジタル庁は、コロナ禍において行政のデジタル化の遅れが指摘される中、縦割りを打破し、日本のDXを真に推進できる司令塔になるべく、準備室設置からわずか1年で発足しました。
官民の多様な人材がプロジェクトベースで活躍できる、スタートアップのように柔軟でスピーディな組織カルチャーを目指す一方で、各省システムを含む巨大な予算権限とその監督管理など莫大な重要業務も抱えており、こうした業務を混乱なく着実に遂行する責務も負っていました。
また、通常の省庁とは異なり、様々な省庁からの出向者や自治体職員などに加え、大量に登用されたデジタル領域の専門家である民間専門人材(立上げまでの8か月で130名の新規採用)で構成されるという前代未聞の多様性に満ちた組織で、それでも業務量に比して圧倒的に人が足りていないという状態からの門出でした。
混沌の中、この壮大でチャレンジングな目標に共感する仲間に恵まれ、組織全体で試行錯誤しながら進んできました。
民間専門人材の採用においては、現在でも応募からオファーに至る倍率は20倍以上、オファー時の受諾率は9割以上となっており、(2021年度末にかけて相当数の離職があったとの報道がありましたが)2021年度末に任期満了で予定どおり退任された方もいましたが、契約満了前に離職された方は2名でした。
データに基づいて継続的に組織を改善していく必要があるという判断から、「組織ができたばかりであり、少し早い」という意見もあったものの、立上げから3か月の昨年11月に組織サーベイ(いわゆる職員満足度調査)の実施に踏み切りました。データの力は偉大です。
大臣・副大臣・政務官を含む幹部が、サーベイ結果から明確になった課題の改善に、組織一丸となって本気で取り組むことを意思決定し、改革のためのプロジェクトを立ち上げました。大臣や各グループ長がその決意を込めて職員全員にメッセージを送ったのは昨年の12月末のことでした。
その半年後、この5月に第二回組織サーベイを実施しました。
職員満足度に関する全ての項目が前回に比して改善(組織の目標と価値観の共有、パフォーマンスに対する称賛、上司からのフィードバック、業務遂行に必要なサポート等の項目が特に改善)するとともに、ベンチマークとしている国内民間組織の平均値を上回る項目(チーム内での協働、コミュニケーションが取りやすい環境、ミッション・ビジョン・バリューの浸透などの項目)も出てくるなど、一定の改革成果が見えてきました。
他方、次に取り組むべき課題(他チームと協働する仕組みや、行政人材を中心とする十分な人材確保など)も明確になりました。
まだまだ不十分ですが、一歩一歩、組織みんなの力で前に進んできていると実感しています。組織として、このデータに基づく改善サイクルを確立させ、「よりよい組織」に向けた取組みを継続していきたいと思っています。
立上げから10か月が経ち、一つの組織改善サイクルを回してみた今、これまでにデジタル庁がどんな課題に直面してきたか、組織としてどう対応してきたか、今後どんなチャレンジに取り組むのかを、オープンに共有することにしました。
何よりもまず、コンセプト以外何もなかったデジタル庁立上げ時期から今に至るまで、ご協力・ご支援いただいた全ての方に感謝を込めて、そして、DXに取り組む全ての組織、同じ悩みに直面している全ての人にとって、少しでも勇気と参考になればと願い、本シリーズを書かせていただきます。
※続き(第2回)は以下のリンクをご覧ください。
◆シリーズ「デジタル庁組織改革の歩み」(全4回)は以下のリンクをご覧ください。
◆デジタル庁の中途採用に関する情報は以下のリンクをご覧ください。
◆これまでの「デジタル庁の組織文化」の記事は以下のリンクをご覧ください。