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社会課題に全力で向き合い、理想の社会に向けた現実解を導く 新卒職員インタビュー

2021年9月に発足したデジタル庁では、新卒採用で入庁した職員が専門性を身につけながらキャリアを形成できる環境として、4つのコース(政策デザイン、リーガル、テック、組織設計)を設けています。

その一つであるテックコースを選択している若手職員に、国家公務員を志し、デジタル庁を目指した理由や現在の業務内容などを聞きました。

◆プロフィール
デジタル社会共通機能グループ・情報連携基盤刷新班、グループ総括/係員
古賀 葵
2024年入庁、総合職(政治・国際)


「誰もが挑戦できる社会を創りたい」

古賀のバストショット。オフィスで窓ガラスを背景に話をしている様子を撮影している。

――所属部署と具体的な業務内容、ミッションを教えてください。あわせて、ご自身がどのような業務に携わっているかお聞かせください。

古賀:
大学卒業後の2024年4月にデジタル庁に入庁し、デジタル社会共通機能グループに所属しています。

現在は、同グループ全体の取りまとめを行うチーム(グループ総括)と、行政機関が保有するデータをほかの機関やさまざまな行政サービスと連携させるシステムを開発するチーム(情報連携基盤刷新班)で業務を行っています。

グループ総括業務では、政府の方針や計画策定のため、各チームの施策取りまとめや、チーム間の調整を担当しています。また、霞が関では、他省庁などから過去にデジタル庁が策定した計画の実施状況に関するフォローアップなどのさまざまな照会があります。これらの回答作成についても、同様に取りまとめ・調整を行っています。

情報連携基盤刷新班の業務では、「公共サービスメッシュ(機関間情報連携サービス)」というマイナンバー制度に基づく情報連携を行うための共通機能を提供するシステムに関する設計開発プロジェクトなどを進めています。その中で、プロジェクトマネジメント支援や、庁内の関係チーム、受託事業者との調整などの業務を担当しています。

行政機関同士の情報連携をより効率的に行うための、より良いインフラをつくるという重要なプロジェクトの一つであり、行政サービスの利便性向上につながる非常にやりがいのある仕事です。

――学生時代の専攻について教えてください。

古賀:
学生時代は政治学科でした。実証分析を行うゼミに所属し、選挙における得票要因の分析などを行っていました。若者の政治参加やシルバー民主主義への興味から投票行動に興味があったためです。

学部3年次には、地方公共団体の首長選挙について、4年次には地方議会選挙について、それぞれの選挙における得票要因を研究しました。これらの研究を通じて、仮説検証の重要性を学びました。政策立案に携わる上でも、学部時代に学んだ仮説検証の力を活かしたいと考えるようになりました。

学部4年次には半年間交換留学でフランスへ行きました。留学先の学部を選ぶことができたのですが、就職活動を通じて「サービス」や、サービス利用者への「届け方」を少しでも学びたいと思うようになり、経営学部を選択しました。

経営学は全くの初学者でしたが、実際の企業事例を用いたケーススタディ形式の講義で多くの学びがありました。半期という短期間でしたが、サービスを届ける上で「いかに利用者を巻き込むか」が重要だということを実感しました。

また、異国の地で生活することは底知れぬ恐怖感がありましたが、フランスでは必要な手続きの大半がオンラインでできる、またはオンラインで確認できたため、母語がフランス語でなくとも、行政手続きや部屋の「インフラ」を整えることができました。

一方で、いくら制度が充実していても、海外ではその国の言葉を話せなければ、恐怖感そのものは完全にはぬぐえないものだと感じました。こうした経験は、「当事者意識」や「サポート」といった言葉の意味や使い方について改めて考えるきっかけになりました。

――国家公務員を目指そうと思ったきっかけや、デジタル庁を志望した理由をお聞かせください。

古賀
「誰もが挑戦できる社会を創りたい」という思いに対して、真正面から向き合える場所を考えた際に、国家公務員という選択肢があると考えました。国民や公益を第一に考えることができ、ゴールに対する最適解をとることができると思ったからです。

きっかけとなったのは、学生時代のサークル活動です。所属するサークルでは学生向けの政策立案コンテストを主催しており、活動の中でさまざまな社会課題や格差について考える機会がありました。その中で、格差が生じる要因の一つに環境要因があり、それによって挑戦のためのスタートラインに立てる人と、スタートラインに立ちたくても立つことができない人がいると思いました。

そして、環境要因を減らすうえでは国主導で必要な人に必要なサービスが届くような基盤形成が有効だと考え、国家公務員を志望することになりました。

また、サービスを届けるという点において、喫緊の課題に迫られている当事者が負担なくサービスを享受するためには、国民視点に立ったフロントエンドとバックエンドの開発や改修が必要になると考えています。デジタル庁ならデジタルという手段や、多種多様で豊富な人材とともに、真正面から「届ける」に向き合えると思い、デジタル庁を志望しました。

多様なバックグラウンドを持つメンバーとともに

古賀のバストショット。オフィスで窓ガラスを背景に話をしている様子を撮影している。

――4月の入庁から現在までを振り返って、印象に残っている仕事でのエピソード、やりがいを感じた瞬間、仕事で心がけていることをお聞かせください。

古賀:
これまで携わった業務の中では特に、閣議決定文書である「デジタル社会の実現に向けた重点計画」(以下、重点計画)の改訂や公共サービスメッシュ(機関間情報連携サービス)関連プロジェクトの立ち上げなどが印象に残っています。

入庁後、所属する情報連携基盤刷新班の総括として初めて取りまとめを担当したものが、重点計画の改訂でした。当班が取り組んでいる公共サービスメッシュの取組概要や、何をいつまで取り組んでいくのかといった具体的な目標などを取りまとめました。重点計画が閣議決定されたときには、行政機関の業務効率化を目指す当班の取組の重要性と責任を再認識し、やりがいを感じました。

また、公共サービスメッシュ関連のプロジェクト立ち上げ期には、受託事業者や庁内関係部署などとプロジェクトを円滑に進めるための調整や、打合せ前後の認識合わせをはじめとする細かな調整を行いました。調整業務はプロジェクト全体の進捗に正にも負にも影響を与えることを認識し、プロジェクトの進捗管理の重要性を実感しました。

――デジタル庁の魅力や特色、職場の雰囲気をお聞かせください。

古賀
デジタル庁の魅力は、思考の幅を広げることができる環境だと思います。デジタル庁は行政官と民間人材が混在する組織であり、多種多様なバックグラウンドや専門性を持った方が、同じ「デジタル庁職員」として政策に携わります。これはモノづくりの営みにおいて偏りのない多面的考慮を可能にすると思います。

例えば、公共サービスメッシュの業務では、プロジェクトチームに技術面(民間人材)と企画立案面(行政人材)それぞれのバックグラウンドを持つメンバーが混在しています。

互いの専門性を認識し敬意を持ったうえで、最適解を探るべくディスカッションするため、視点の偏りがない両面的な検討を通じたサービスづくりが可能になっていると感じます。

また、デジタル庁はコミュニケーションをオープンにとることができる組織であるため、こうした多様性や専門性がチームやプロジェクト内に閉じることなく全庁的に活きていると感じます。「この視点で見たときにこれはどうだろう?」となった際に、答えや答えへのアプローチ方法を持っている方を、コミュニケーションツールを用いて、見つけることができます。

――職場における1日のスケジュールを教えてください。

古賀
私の所属する班では複数のプロジェクトが同時に走っているため、基本的に受託事業者や関係省庁との打合せが1日の半分ほどを占めています。

9:30:始業
班のメンバーの半分以上が週2~3回テレワークをしています。午前中のみテレワークし、午後から登庁するメンバーも多くいます。(私は自宅だとあまり集中できないタイプのため登庁することが多いです)

9:30~10:00:メールやメッセージの確認、タスク確認
班の総括として一次受けする機会が多いため、タスク期限や照会の確認を行います。

10:00~11:00:調整業務など
各種調整業務をこなしています。例えば関係省庁からの照会やQ&A対応の取りまとめ、庁内関係部署との調整などです。また、午前中の会議資料の確認も行います。

11:00~12:00:事業者①との打合せ
事業の検討や進捗確認、プロジェクト進行上の課題についてのすり合わせを行います。庁外の会議室で行われることもあります。

12:00~13:00:お昼休憩
デジタル庁内にある芝生スペースで同期とお弁当を食べながら過ごす日もあれば、上司とランチに出かける日もあります。物価はやや高めですが、デジタル庁の周りには美味しいランチがたくさんあります!

13:00~13:30:会議資料の確認など
午後の打合せの前に会議資料の確認を行います。午前中に発生したタスクも必要に応じて行います。

13:30~15:30:事業者②との打合せ
プロジェクトを進める中で生じた検討事項などを中心に打合せを行います。

15:30~18:15:資料作りなど
プロジェクトを進める上で必要なレク資料を準備します。上長とコミュニケーションをとりながら資料作成を行っています。

古賀のバストショット。オフィスで窓ガラスを背景に話をしている様子を撮影している。

――デジタル庁で今後チャレンジしたいこと、ご自身が将来携わりたい仕事をお聞かせください。

古賀:
公共サービスの利便性向上に携わりたいと考えています。やや抽象的になってしまいますが、公共サービスの利便性向上によって行政サービスを受けることの機会費用を減らし、さまざまな課題に直面する当事者が必要なサービスに即座にアクセスできる環境を整備したいと考えています。

そのために、データの整備・連携・利活用はもちろん、現場を見て、国民の現状やニーズを適切にとらえ、効果的なサービス提供に寄与できればと思っています。

また、常に意識したいこととして「必要な人に必要なサービスを届ける」ための最適な手段を考え続けたいと思っています。

入庁してサービス(システム)づくりに携わる中で、「サービス利用者にとってのメリット」と「サービス提供コスト」の損益分岐点のようなものを考えることの重要性を学びました。

当たり前のことかもしれませんが、「サービス」はそのとき限りのものではなく、持続可能性をもって初めて必要な人に届くといえると思います。

現在は、デジタルを必要に応じて用いることが最適な手段で、これにより持続可能性のある行政サービスを届けることができると考えていますが、手段の目的化とならないよう、常に最適な手段は何かを考え続けたいと思っています。

社会課題に全力で向き合い、理想の社会を現実解に落とし込む

古賀のバストショット。オフィスで窓ガラスを背景に話をしている様子を撮影している。

――ご自身の経験を踏まえて、国家公務員試験の体験談や試験対策、試験に向け準備しておくべきことを教えてください。

古賀
私は学部の専攻に合わせて政治・国際区分で受験しました。筆記試験対策では、政治科目に絞って、講義で学んだことと絡めながら集中的に勉強しました。このように、専門区分の受験では、自身の専攻との相性次第では科目を絞っての学習ができると思います。また、興味・関心と得点配分を考えながら、学習計画を立てることが効果的かと思います。

官庁訪問などの面接対策としては、自分の想いや、やりたいことをひたすら言語化することか大事だと思います。私は友人を巻き込んでひたすら言語化の練習をし、自分自身の想いなどを深掘りしていきました。また、周囲の友人などと社会課題に対する価値観や問題意識などを議論し明確化することも有効だと思います。

――官庁訪問で思い出に残っていることがあればお聞かせください。

古賀
官庁訪問で思い出に残っていることは、職員の皆さんの思いの強さです。対応いただいた職員の皆さん全員が政策や社会課題への思いを強く持っていると感じました。また、私自身の考えや思いを伝えた際にしっかりと向き合って議論していただきました。

官庁訪問はもちろん選考の場ではありますが、各省庁の政策担当者と会話し議論をすることができる貴重な機会です。政策担当者の思いや、政策ができるまでの経緯を聞くことができることに加え、純粋な疑問や課題感をぶつけることができるので、自身が取り組みたいことを深堀りできるとても良い機会になると思います。

――最後に、国家公務員を目指し、デジタル庁で働きたいと考えている学生らに向けたメッセージをお聞かせください。

古賀
国家公務員という仕事は、社会課題に全力で向き合うことができ、理想の社会を現実解に落とし込める仕事だと思います。

官庁訪問でも感じましたが、国家公務員の中には何らかの問題意識をぶつけたときに正面から受け止めてくれる人がたくさんいます。

その中でもデジタル庁では、デジタルという手段を有効に用いることができ、省庁横断的に問題に向き合い取り組むことができます。また、地方自治体、各省庁、民間企業など多種多様なバックグラウンドを持つ方とワンチームで問題に向き合うことができる魅力もあります。
少しでもデジタル庁の政策や働き方にご関心がありましたら、お気軽にデジタル庁にお問い合わせいただければ嬉しいです。


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