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「常に目的を問い、優先順位を明確に」 統括官の仕事にかける想い(1)

デジタル庁では、ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)を大切にしながら業務に向き合っています。先日は、より素晴らしい姿勢で業務に取り組む職員を表彰する「MVV Award」で各賞を受賞したメンバーを紹介しました。

今回は、MVV Awardと同じくインナーコミュニケーション施策として行った、入庁したばかりの若手職員による統括官インタビューを紹介します。

デジタル庁にある4つのグループにおいて、それぞれのトップを務めているのが統括官です。今回、話を聞いたのは戦略・組織グループの冨安泰一郎、デジタル社会共通機能グループの楠正憲。これまでのキャリアに加えて、仕事で大切にしていることや組織のあるべき姿などを聞きました。


東日本大震災を機に、民から官の仕事へ

――最初に、どんな経緯でデジタル庁で働き始めたのか教えてください。

戦略・組織グループ 冨安:
私は、財務省からIT総合戦略室を経て、デジタル庁に着任しました。デジタル庁創設に向けては、菅総理大臣(当時)の指示を受け、平井初代デジタル大臣とともに、IT基本法の見直し(廃止)、デジ庁設置法の策定、組織の立ち上げにも取り組みました。その他、預金口座への番号の附番や公金受取口座登録の制度化、マイナンバーカードの普及・利便性向上策などデジタル化を加速するための制度改正に携わりました。

デジタル社会共通機能グループ 楠:
私が行政の仕事に関わるようになったのは、東日本大震災がきっかけでした。「世の中が大変なことになるぞ」という思いを抱いたことから、当時の内閣官房でマイナンバー導入を支援する補佐官としてチャレンジすることにしたんです。当時はアドバイザーでしたが、デジタル庁の立ち上げタイミングで、統括官ポジションに応募し、今に至っています。

バリューに立ち返り、トライ&エラーを繰り返す

――MVVの推進において、大切にしていることはありますか?

冨安:
MVVについて、デジタル庁のように出身母体の異なる者が多く集まる組織では、みんなで共有することがとても重要です。

バリューは特に、仕事で何か困った時に立ち返る基準だと考えています。煮詰まったり、議論がかみ合わなかったり、仕事の方向性がわからなくなったりとかですね。新しいことに挑戦するときは失敗や困難が必ず発生します。そんなときにバリューを確認することで、何のためにやっているかを再認識したり、チャレンジ精神を持ち続けることの意義を思い出させてくれます。

写真:戦略・組織グループの冨安泰一郎さん
戦略・組織グループの冨安泰一郎

楠:
行政が一番できていなのは、バリューの「常に目的を問う」だと考えています。目的が明確だと、やらないことを決められます。

デジタル庁が本来、もう3倍くらいの人がいないと回らない業務量を約700人で回していると思っているので、仕事を減らすのが大事です。まず目的を問い、優先順位を明確にしていくことを意識しています。

なので、部下の皆さんには、「嫌われないかな」という不安はありつつ、いつも「何のためにやっているのか」「やめたらどうなるか」を聞くようにしています。実際にやめたものもありますし、やめられなかった事業でも、目的をハッキリさせたり、途中経過をしっかりモニタリングすることで、失敗しても次に生かせるようにするのが大切だと思います。

もう一つ大切にしているのが、「成果への挑戦を続ける」です。成果とはアウトプットではなく、アウトカムだと考えています。つまり、「やりました」で終わるのではなく、「やったことでこう変わりました」ということを評価しなければいけないということ。行政は測定可能な目標を立てることが苦手です。その理由も統括官の立場になって分かることがありますが、これから私たちが頑張らなければいけない領域だと考えています。

多くの人材に「参画したい」と思ってもらうため

――デジタル庁の組織がどうあるべきか、お考えを教えてください。

冨安:
デジタル庁は、これまで政府でできていなかった多くのことを求められており、やはり業務量に対して人材が足りていません。従って、さらに多くの民間人材に「参画したい」と思ってもらえるよう、組織文化の醸成、働きやすい環境や制度づくりを進めなければいけません。「デジタル庁はやっていることが面白い」と感じてもらえるよう、アピールしたいと思っています。

楠:
民間から来た人材は他の組織に比べて仕組みが未整備なので、すごく大変だと思います。そのため、「大変なことをやった甲斐があった」「成長できた」と思える組織でなければ、せっかく良い人材が集まったとしても辞めてしまうことにつながるでしょう。成長機会をつくり、ステップアップの機会となるような組織にしていかなければいけません。

そのためには、みんなが「日本はデジタル化できているな」と実感できるような、前向きに社会を変えていけるチャレンジができたり、そこに多くの時間を使えたりする必要があります。行政のルール上やこれまでの慣習を変えていくという点で難しいことも多いのは事実ですが、そういう閉塞感を変えるためにデジタル庁を作ったはずです。

変えていくためには、協力いただいている民間企業や一人ひとりの国民の皆さまをより巻き込んでいかなければいけないのだと思います。ルールの壁にぶち当たったとき、必要であれば法整備も含めて変えていくことによって、「デジタル庁があったから日本は良くなった」と10年後・20年後に思ってもらえるような、そんな組織にしていきたいです。

写真:デジタル社会共通機能グループの楠正憲さん
デジタル社会共通機能グループの楠正憲

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