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「デジタル社会のリーダーシップ」副大臣・小林史明が語る②

デジタル庁を牽引するリーダーたちに聞く、インタビューシリーズ第二弾。
4回に渡り、副大臣の小林史明がデジタルによる改革、デジタル臨調、デジタル社会のリーダーシップなどについてを語ります。本記事は第二回目です。

ツールとしてのデジタルと、個々人の力をどう活用するか

ワクチン接種記録システム(VRS) プロジェクトの例など、デジタル化により仕事の進め方や組織運営が変わりつつあるという話題が前回ありました。フラットに情報共有ができる組織において工夫されたことや、プロジェクトを成功に導いた要因についてお話しいただけますか。
 
小林:
SlackはVRSチームの成功の大きな要因です。全員が見られる場で相談と意思決定して、チームの価値判断の軸を共有しました。霞ヶ関的ないわゆるチェーンコマンドで決裁をする時間のロスがなくなり、記録に残るので、後からプロセスを見ることができます。
 
何か問題が起きた時のアラートや解決の糸口を関係者全員に共有できるのも大きい。官僚だけでなく、民間や自治体から多様なメンバーが集まっていますので、それぞれの立場から瞬時に知見を共有してくれるのは助かりました。

また、オンラインでハドル的なミーティングを日々やっていました。常にマネジメント側から意見を求めるようにしているのですが、オンライン会議は全員とフラット・横並びなので発言しやすくなり、躊躇なく個々人が考えを述べて持っている能力を発揮しやすい。名指しで「○○さんどう?」と振って本人から発言をしてもらうなど、なるべく全員から意見を出してもらうようにしていました。
  

リーダーは遠方=将来を見据え、ビジョンを示す

大量の情報ストックを全員で共有できるのはメリットですが、膨大な情報をうまくハンドリングし有効活用してもらうために意識していることは?

小林:
情報が多すぎると処理しきれないのは確かで、各分野に責任者を置いてなるべく責任者が集約し、編集・フィルタリングするようにしています。

また、SNS経由で自治体や医療機関から上がってくる声・要望を汲み取り、オンラインで繋がって今起きていることを確認する、といったこともやっていました。国と地方って距離が遠い場合も多いのですが、デジタルでリアルタイムかつインタラクティブにやり取りができたのはとても良かったですね。時にツイッターでDM(ダイレクトメッセージ)を送ったりもしていました。

組織でDXを推進するにあたってのリーダーの役割をどう考えていますか?
 小林:
リーダーは何にでも首を突っ込まずに遠方=将来を見据えビジョンを持ち、それを提示することが大事です。組織運営にあたっては、効果を検証しながら任せられる人に任せることで、私は足元からある程度目を離して遠くを見るようにしていました。

旧いルールをアップデートし、旗を立てよ

小林副大臣は、デジタル技術を活かし新しい発想で旧来のルールをアップデートすることにも取り組まれています。一つの新しい未来に向けて動くときの考え方や、実際の経験談をお話しいただけますか。
 
小林:
行政と地域の課題解決のスタイルは変わってきました。従来は道路がないからそこに道路を作るといった、直線的に一対一で取り組む分かりやすい例がほとんど。しかし今は問題が複雑系になってきており、一つ対処しても他で傷口が広がり課題が解決しない事例が増えています。
 
今後は一直線型よりも、サークル型で課題解決をする手法がメインになるでしょう。その代表例がこども食堂です。食品ロスに悩むスーパー、場所が空いている公共施設、余暇・時間がある高齢者そして場合によっては若い人達が集まり協力・補完し合って、全体としては問題が解決されているという状態。このような良い環境にするには多様なプレイヤーを巻き込み、さまざまな知恵を出し合う必要があります。
 
複雑系課題の解決のために多様な人たちと連携するためには、以前は一人づつ会いにいくしかなかった。しかし今は、従来の手法やルールを変えてデジタルを使うと一発でコミュニケーションをスタートできる。まさにデジタル化のメリットです。
 
リーダーはそれぞれのプレイヤーの課題とモチベーションの源泉を把握して、手順を考えてパズルをはめていくことが大切だと考えています。経験上、“明るく問題意識を持っている人”は活躍してくれますね。怒りという動機で集まるとコミュニティ運営は難しいんです。
 
「ここに問題があります、これ解きたいです」とリーダーは公言し“Show the flag”=旗を立てて、「これ解決すると良くなるよね!」という感覚で動いてくれるポジティブな人を見つけ、場合によっては適当と思われるデジタルツールを委ねて任せることです。



第三回目に続く
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