「デジタルで社会変革を加速する」副大臣・小林史明が語る①
デジタル庁を牽引するリーダーたちに聞く、インタビューシリーズ第二弾。
4回に渡り、副大臣の小林史明がデジタルによる改革、デジタル臨調、デジタル社会のリーダーシップなどについてを語ります。
テクノロジーの社会実装で、多様でフェアな社会を作る
小林副大臣は通信会社を経て政治家に転身し、現在はデジタル副大臣兼内閣府副大臣としてデジタル化、規制改革、行政改革に取り組んでいらっしゃいます。DX(デジタル・トランスフォーメーション=デジタルによる改革)に取り組むにあたり、重要視していることは何でしょうか?
小林:
私は、企業に勤務している時から、デジタルという有用で便利なツールを徹底的に社会で使うことでもっと個人が自由になって多様でフェアな社会が実現する、と考えてきました。政治信条は「テクノロジーの社会実装で、多様でフェアな社会を作る」です。
デジタルのいいところは、ツールを使っているうちに考え方や環境が変わっていくところ。例えば、前政権で私が担当したワクチン接種のデータベースを構築するプロジェクト。約50人のチームは、オンライン会議やSlackなどのチャットツールを積極的に使い、フラットな組織の中でフェアに情報共有を行い、年齢や背景・出身母体の異なる多様な人材が最大限に自分の能力を活かして、2カ月という短期間で成果を上げられたと思っています。
デジタルは、自由度を高め多様性、公平性を実現する
小林副大臣の信条にある自由、多様=ダイバーシティ、フェア=公正・公平といったキーワードは、DXによって加速、実現できそうでしょうか。将来の社会の理想像、イメージはどんなものでしょうか?
小林:
DXが進むとリアル=対面とバーチャルを使い分けられるようになり、情報の共有ややりとりが場所と時間に関係なくできて、個人の活動の自由度が増します。住む場所や働く時間帯、環境などの制約がほぼなくなり、多様性が確保しやすくなる。
また、デジタルは履歴が明確に残るので、努力と成果がフェアに評価されるようになる。多様性=ダイバーシティというとLGBTQなど個人寄りの話になりがちですが、企業活動も同様だと考えています。
例えばスタートアップ企業が資金調達に苦労する例は多いですが、クラウド会計ソフトのデータを審査することで創業から数カ月であっても大きな金額の貸し付けが受けられたりする。デジタルによって実力が明確に可視化され、フェアに評価されるわけです。個人だけでなく、事業者や企業にとってもDXの恩恵は大きいと思います。
実体験、小さな成功体験がデジタルへの興味関心を高めていく
デジタル化は個人への理解促進、浸透も課題です。デジタル化、DXへの理解を深めてもらい、推進を加速するために身近なところで心がけていることはなんでしょうか?
小林:
デジタル化に拒否反応がある人や苦手な人がいらっしゃることは事実です。そういう方々へのアプローチ手法の一つは、日頃から共通の小さな成功体験を作ることだと考えています。
例えば、政治家の先輩の理解を深めるために、タクシーではなくわざわざUberを呼んで一緒に乗って便利さを実感してもらうとか。また、自分の母親がFacebookを使いたいと言うので、一番煩雑な初期設定をやってあげたら実際に投稿などができて楽しくなって、次はLINEを使いたいと言い出しました。
内発的にデジタルへの興味関心が深まりデジタルを使うようになっていく──。最初の成功体験が鍵で、一つ一つの成功体験の積み重ねを大切にしてもらいつつ政策を推進することを心がけています。
改めて、デジタル化は日本の成長戦略に不可欠でしょうか?
小林:
日本は昭和・平成までは「組織」が中心の社会でした。しかし昨今ではDXやツールの発達により「個」が活躍できる時代になりました。よって、組織ではなく個人起点の社会制度に転換する必要があります。
テクノロジーを活用し、規制改革・社会制度改革を進め、一人一人に価値の高い情報があまねくフラットに共有され、個人が活躍しやすい社会にしていくことを目指したいと考えています。
第二回目に続く
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