【対談】初めてのプロパー職員に聞く、デジタル庁で働く魅力とやりがい
約1年前にあたる2022年4月1日、デジタル庁として初めての入庁式が執り行われ、新たにプロパー職員として12名の仲間をお迎えしました。うち9名が新卒採用、3名が経験者採用であり、様々なバックグラウンドを持つ人材が入庁しています。
今回は、実際にデジタル庁に入庁し、仕事を進める中で感じた魅力とやりがいを、社会共通機能グループ データ班の桜田啓介、戦略・組織グループ 企画審査・法令担当の八村美璃に話を聞きました。
現在の仕事について
― お二人が担っている仕事について教えてください。
桜田:
新卒の一般職として入庁し、デジタル社会共通機能グループのデータ班というところで総括業務を担当しています。
具体的には、データ班に照会依頼があった内容の管理や記載、班内の庶務的な業務、データ班にて運営している有識者会議の事務作業などを行っています。
僕は、大学時代は情報系の学部に在籍し、自然言語処理やAIなどの研究をしていたのですが、そのような経験が利活用できる環境を選びたい、という背景からデジタル庁とご縁があり、今日に至ります。
八村:
新卒の総合職として入庁し、戦略・組織グループの企画審査担当に所属しています。具体的には、他府省庁からの各種発注や照会への対応、戦略・基本方針の取りまとめ、閣僚会議の調整、公文書管理などを行っています。
また、法令担当も兼務していて、通常国会の提出法案をはじめとする法令・文書の審査業務も担っています。法学部、ロースクールと、学生時代は法律を学んできましたが、まさにリーガルマインドを活かしながら、日々の業務に取り組んでいます。
デジタル庁へ入庁を決めた理由
― お二人はどのようにデジタル庁に興味を持ったのですか?
桜田:
当初、もちろんデジタル庁が発足することやマイナンバーカードに関するニュースなどは耳にしていたのですが、公務員試験を受けるときまでは、デジタル庁が採用活動をしていることをまったく知りませんでした。
初めて知ったのは、官庁訪問のタイミングですね。そこで採用予定機関の一覧が掲載されていたのですが、その中にデジタル庁が入っているのを見たのが最初でした。
その時、先述したように自分自身の出身が情報系だったということもあり、受けてみようかなと考えるようになりました。それからしばらくは、他の府省庁と併願しながら、就職活動を進めていましたね。
八村:
私も桜田さんと同じく、デジタル庁が出来たことは知っていましたが、プロパーの国家公務員を募集していると認知したのは公務員試験の途中でした。
学生時代から、「ルールメイキングがしたい」という想いで法律を学んできたのですが、まさにその想いを叶えられる場所かもしれない、とデジタル庁に惹かれたのを覚えています。
当初、弁護士を目指していたのですが、もともとゼロイチで何かを始めることや、クリエイティブワークが好きだったこともあり、デジタル庁に親和性を感じるようになりました。
― デジタル庁に決めたポイントは、どのような点でしたか?
桜田:
正直なところ、僕はずっと併願をしながら就職活動を進めていたこともあって、何か明確な確信するタイミングがあったという訳ではありませんでした。
でも、官庁訪問でオフィスを訪れたときに、実際に出勤する人がとても少なく、テレワーク環境が整っていることには驚きましたし、フレンドリーで自由闊達な雰囲気で働く職員の様子をみたときに、魅力を感じました。
八村:
私は、直感で、「デジタル庁で働きたい!ここだ!」と思っていましたね。もうそれって一目惚れみたいなもので、官庁訪問はデジタル庁一本で進めていました。
ルール作りができること、言い換えれば「社会をデザインしたい」という私の根幹の想いにぴったりだったことが一目惚れの大きな理由です。
デジタル庁はコロナ渦で発足したスタートしたばかりの府省庁で、まさにガラッと変わってしまった生活様式に合わせて、あるいは制度を先行させながら、社会をアップデートしていくことが使命です。
そのような環境で、様々な人材が持ち合わせている知識や経験と、自分が学生時代に学んだこと、経験したことを掛け合わせられることは、デザインそのものだと感じました。
― 他には無くて、デジタル庁にはあった魅力は何がありますか?
八村:
タイミングが大きいと思いますね。そもそもデジタル庁のように、半年ほどで省庁を作りあげることってありえないことなんです。でもコロナ渦という緊急時において、それを成し遂げてしまった。
省庁を立ち上げ、これから新しい政策を進めるというときには、一気にいろいろな法律を整えなければいけない、まさに大工事が発生するので、そこに飛び込みたいという想いはとても強く持っていました。
これまでの行政のカタチを打破しようとする新しい組織で、自分の分野を活かせる環境がある。それはとてもドラマチックであり、運命的なものを感じました。
あとはシンプルに、ここには面白くて優秀な方々がたくさん集まるだろうという確信があったので、その点も唯一無二の魅力だったように思います。
桜田:
僕もタイミングについては、魅力を感じましたね。大学時代の研究室が二期生というタイミングだったのですが、やっぱり一期生とか二期生ってまだまだ立ち上げをしている最中なので、すべてが創る側なんです。
その経験はやっぱり楽しかったですし、今でも良い経験として残っていて。大きい組織でまたその感覚が味わえるかもしれない、ということはとても面白そうだと感じました。
あとは少し違った観点ですが、自分自身が実際に市役所などの手続きで感じていた不便さを解消することができる、という点は大きな理由でした。
対面で紙に書く必要なんてあるのか?と思っていましたし、実際に感じていたこれらの面倒を効率化していける仕事に携わってみたい、と思っていましたね。
入庁前と入庁後のイメージのギャップ
― 入庁後、何かイメージと異なった部分はありましたか?
八村:
新卒1年目なので、自分たちの意見ってそこまで聞かれないのかなと思っていたのですが、実際には統括官レベル、他の省庁だと局長レベルの方々から積極的に声を掛けていただけるのはかなり驚きました。
「プロパーの君たちのほうが長くここに居続ける存在なのだから、君たちがどう考えるかを教えてほしい」と、飲み会の場をセッティングしてもらったり、私たちの本音をすごく大切にしてもらっています。
桜田:
僕も八村さんの話と似ていますが、お役所ということもあり、もっとかっちりとした縦割りのイメージをしていたんです。
でも入庁すると、予想以上にフランクで。自分の意見を聞いてもらえる環境で、とても安心したことを覚えています。
八村:
私は4月に入庁した後、すぐ5月に司法試験を控えていたのですが、入庁直後にもかかわらず、上司たちが受験を前向きに応援してくださったのがすごく印象的でした。
「好きなように頑張っておいで、そういうチャレンジをする存在がデジタル庁を強くするし、そういう存在に活躍してもらえる組織をつくるのが私たちの仕事だから」と言ってもらえて。とても有難かったですね。
桜田:
さっきの話と似ているのですが、参事官や局長に気軽に話をしに行けるという点もギャップでした。
小さな話ですが、会議で使用する資料について「こっちの方が見やすくないですか?」と提案したり、何かミスをしてしまったときにはサッと部屋に入って「すみませんでした」と話に行けたり。これはかなり意外なポイントでした。
今後、デジタル庁で実現したいこと
― さいごに、今後デジタル庁でやってみたいことを教えてください。
八村:
デジタル庁への志望動機と重なるのですが、この国の一人ひとりが自分らしく生きられる社会をデザインする、というのが実現したいことです。
デジタル化によって、人が人にしかできないことができる社会、貴重な時間をもっと自分の大切なもののために使えるような世の中にすべく、2年目以降も頑張っていきたいと考えています。
あとは、「一人ひとり」の中には行政人材も含まれるな、と。
行政内部の調整業務に携わる中で、例えば法案を作るときにめちゃくちゃアナログなことが多くて大変だった体験があります。デジタル化できる余白がたくさんあると感じました。
デジタル庁はせっかく多様なスキルを持った方が集まっている組織なので、デジタル人材と行政人材が融合しながら、現場自体の課題も解決する機会をつくっていきたいです。デジタル庁のプロパーとして、まさにそのための架け橋になりたい、と最近は思っています。
桜田:
僕は、まずは目の前のできることをコツコツやっていくことが大切なのかなと思っています。
もちろん、非効率な事務作業を効率化するためにデジタル化しようよ、という方針は賛成ですし、やりたいとは思っているのですが、そのためには莫大な知識とコストが必要です。
自分自身は情報系の出身といえど大学で勉強した程度ですし、まだまだ知識も経験も足りません。だからこそ、今のデータ班は民間出身人材がたくさん在籍しているので、教わりながら着実に進んでいきたいです。
将来的には、やはり市役所の手続きをデジタルで完結させるなど、国民の皆さまが生活しやすい環境づくりに携わりたいですね。
今回のインタビューでは、初のプロパー職員であるお2人に実体験を語ってもらいました。これらの内容が、就活生の皆さんにとってデジタル庁への応募を考える一つの手助けになっていれば幸いです。
デジタル庁では新卒採用を行っています。詳しい情報は下記URLをご確認ください。
また、経験者採用試験(係長級(事務))の募集要項は以下のリンクからご確認ください。