「双方の立場における着地点を模索する」MVP受賞者対談(2)
デジタル庁ではミッション・ビジョン・バリューを大切にしながら、日々業務に向き合っています。そこで、より素晴らしい姿勢で業務に取り組む職員を表彰すべく、MVV Awardという施策を始めることにしました。
今回は、MVV Awardとはどのような施策なのか、また個人賞を受賞した省庁業務サービスグループの細川と大臣秘書官の柳生の取り組みを紹介します。
MVV Awardとは?
組織文化醸成を目的に、デジタル庁のミッション・ビジョン・バリューを体現した組織と個人を表彰し、ロールモデルとして庁内に共有することで、ミッション・ビジョン・バリューのさらなる浸透を図る取り組みです。
個人賞4部門、全社MVP、プロジェクト/チーム賞の表彰項目があり、半期に一度全職員の中から選ばれます。今回は、個人部門における「Collaboration Award」「Agile Award」の2部門で受賞した二人へインタビューを行いました。
あらゆる立場を超えた成果への挑戦
――お二人のバックグラウンドとデジタル庁でどんな仕事をしているのか、教えてください。
細川:
大学では経営学を学ぶとともに、イベントの企画・運営や、ベンチャー企業の社長のかばん持ちを通じて経営者の仕事を間近で見せてもらうなど、様々な経験をしました。
大学卒業後は、電機メーカーに就職し5年弱デジタル顕微鏡の新規営業を行い、大変やりがいのある仕事で、信頼できる上司・同僚に恵まれていました。
そこから、営業で培った能力を活かし専門知識を磨ける仕事をしたいと考えて東京国税局へ転職しました。国税庁・人事院・デジタル庁に出向する機会をいただき、現在に至ります。
デジタル庁では、国家公務員の給与振込に関して、外部機関と調整する仕事をしています。
具体的には、国の会計制度や給与制度(関係法規等)に規定されていない業務は、各府省でさまざまな方法が採用されていました。これをシステムで処理するために新たな処理方法の提案を行い、利用者にとってより効率的な業務が行えるようなお手伝いをしてます。
柳生:
平成15(2003)年に総務省に入省し、主に各省の業務や組織体制などを管理する行政改革推進事務局で長く働いていました。
IT補室時代に政府共通システムの中の総務省管轄であったe-GOVシステムとの連携から、デジタル庁発足に向けた組織の骨格や土台作り、関連する法律関連の業務を担当していました。
デジタル庁創設後は、主に戦略・組織グループの法令担当として、デジタル化に向けた関連法案の文書の整合性チェック、法令の調整を担当しています。
省庁業務サービスグループでは、政府統一システムや各府省庁システムを統括する業務を担当。その後はデジタル臨時行政調査会で、デジタル化に向けて既存の法律を見直すためのデジタル法制機能を担当していました。
その後、一度内閣人事局で人事行政に従事し、現在はデジタル庁に戻り河野大臣の秘書官として働いています。
相手の立場を理解し、歩みよる
デジタル庁で業務に励む上で大切にされていることをお聞かせ下さい。
細川:
仕事で大切にしていることは、4つあります。
1つ目は、相手の話をよく聴き、相手が何を伝えたいのかを正しく理解すること。
2つ目は、あらゆる組織のあらゆる立場の方とお話しするときは、専門用語を減らし、図や表を使って、相手に分かりやすくものごとを伝えることです。これにより、システムの改修目的等を関係者間でしっかり認識を合わせることができ、利用者にも優しいサービスが提供できると思っています。
3つ目は、目的を正確に把握して、その目的に最も適切な手段を常に検討することです。目的に最も適切な手段となるようにシステムの改修を検討することが、とても重要だと思っています。
そして最後は、自分がしっかり納得できるような仕事をすることです。
当初は「関連機関との関係性があまり良好ではない」と引き継ぎを受けていたのですが、状況確認をしていたところ、これまで適切な情報共有ができていなかったという課題が見えてきました。
そこから、適切に情報共有や相談を行い、協力して課題を解決することができるようになり、今では関連機関のみなさんと強固な信頼関係を築くことができました。
仕事を一緒にする方々とは、属する組織が異なっていたとしても、「仲間」として同じ方向を向いて働いた方が楽しいですし、良い人間関係のほうが、付加価値の高い仕事ができると思っています。
柳生:
デジタル庁は新しい組織で、これまでの霞ヶ関の組織とは異なる風土ということもあり、アジャイルなやり方はやりやすいですよね。まさに、アドベンチャー気質な方が多いと思います。
基本否定はせず、やりたいと思うならまずはやってみようという精神。今回受賞できたのも、チーム一丸となり、その精神を第一に取り組んできたことが一因なのかなと思います。
一方、デジ臨という組織では法令の業務など、デジタル法制局の役割として管理チェックしていく守りの一面もあるので、非常に対極的です。両輪を進めるためにはバランス感覚も必要になります。
デジタル庁を立ち上げている職員の多くは、新たに道を切り開くマインドを既に持っている方が多いですし、これからも忘れないでいてほしいなと思います。
一方で、意見や考えが異なる人に対しては、真っ向から否定するのではなく、その方達の想いを聞いて立場を理解するということは大切ですね。
デジタル庁においては関係各所、さまざまな方々と調整する事項がありますので、関係各所の特徴を理解し合いながら成果へと導いていきたいです。
――本日デジタル庁オリジナルTシャツを着ていらっしゃいますが、細川さんはデジタル庁職員を巻き込んだデジタル庁グッズの共同購入プロジェクトを起案されていましたね。
細川:
私が身近な離任者への贈り物として、デジタル庁のロゴ入りマグカップをデザインしたのですが、他にも欲しいと思っている方がいるのではないかと思い、デジタル庁内で共同購入を募りました。
わずか1日で合計600個以上の注文があり、反響の大きさに驚きました(笑)。当時の牧島大臣にも購入していただき、オンライン会議などでマグカップを使っていただいているのを見かけたときは、とても嬉しかったです。
双方の立場における着地点を模索する
――最後に、これからデジタル庁でやって行きたいことをそれぞれお聞かせ下さい。
細川:
これまでお話ししたことを引き続き意識しながら仕事を行っていけば、デジタル社会の実現に、しっかりと貢献できると思ってます。
あと、多くの職員が業務外のマグカップ企画に賛同・応援していただいたことで、デジタル庁に愛着を持って働いている職員が沢山いることが分かりました。
スタートアップ企業のようなデジタル庁は、これからも色々なことができる可能性の大きな組織だと思っています。
私なりに、新たな企画を通じて、デジタル庁職員のみなさんを巻き込みながら、デジタル庁らしい組織文化の醸成に貢献できたらよいなと思ってます。
柳生:
既存の仕組みを、デジタル社会を実現していく上でどう変えていくか。それは先ほどお話しした通り、これまで検討された側の意見や立場を考えつつ、新しい視点で繋げて、融合していくことが必要になると思います。
デジタル社会を一緒になって実現していくために、双方の立場における着地点を模索しながら、考え、行動していけたらと思います。
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◆これまでの「デジタル庁の職員/チーム紹介」記事は以下のリンクをご覧ください。