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デジタル庁設立から1年。16の施策の活動成果と進捗(2/3)

デジタル監の浅沼です。
2022年9月1 日、デジタル庁が設立されてからちょうど1年を迎えました。今回は前記事につづき、具体的に実施してきた16の施策の活動成果と進捗について振り返ろうと思います。

※本記事は3部構成を予定しています。
1部:活動方針と特徴的な活動
2部:16の施策の活動成果と進捗(本記事)
3部:組織づくりと今後の取り組み


デジタル庁の16の施策と進捗

1.マイナンバーカードの普及

マイナンバーカードの所有率が45.8%に拡大し、利用シーンも増加傾向。

マイナンバーカードを利用することによって一人ひとり最適な行政サービス、また、民間サービスを利用できるといった仕組みづくりを進めています。

現在、国民の約半数の方々がマイナンバーカードを所有しているのですが、今後は行政サービスをさらに使いやすしていくことはもちろん、皆さまが「マイナンバーカードって持っていると便利だよね」と思っていただけるような利用シーンを拡大していきます。こちらは各関係省庁と連携しながら積極的に活動を進めていきたいと思っています。


2.マイナポータルの改善

マイナポータルから実行できるオンライン行政手続きが拡大。

「いつでも、どこでも、ススマートフォンがあれば行政サービスを利用できる」という生活者に優しい行政サービスづくりを目指すにあたり、マイナポータルの改善に注力しています。

この1年で、薬剤情報の閲覧や、公金受取口座の登録などオンラインでできる機能を拡充してきました。今後は引っ越し手続きの明瞭化、旅券のオンライン申請など、生活者にとって身近で利便性を感じられるサービスを拡充していきます。


3.事業者向けオンラインサービスの提供

事業に関する行政手続きがjGrantsで申請可能に。

補助金申請システムのjGrantsでは、この1年で補助金数が約3倍、利用事業者数も約2.5倍に増加しています。本サービスは、データの利用状況を確認しながらサービスの改善を行っている代表的なサービスの1つです。

引き続きサービスの改善を行い、民間事業者の皆さまにとって利便性の高い、使いやすいサービスを提供していきます。


4.府省庁向けオンライン行政サービス

政府ウェブサイトの標準化に向けたルールとシステムを開発。

政府ウェブサイトにおいては、今までバラバラに開発運用が行われたということもあり、使いやすさやコスト面など課題がいくつもある状況でした。
そこで、デザインシステムというインターフェースの共通パーツ、これと合わせてコンテンツを管理するシステムのルールを定義し、この1年間は試験運用をデジタル庁で行ってきました。

利用者にとっても便利で、提供者にとっても効率的に制作できる政府のウェブサイトを、各関係省庁と連携しながら広めていきます。


5.キャッシュレス法の成立

キャッシュレス法が成立し、行政手数料のスムーズな支払いが可能に。

今まで国への料金を納付する際には、印紙や現金での支払いが必要なケースがいくつかありました。納付までデジタル化できなければ、手続きのオンライン完結は実現できません。

これを解消するための法案がキャッシュレス法です。この法案により、行政手数料の支払いをクレジットカードや電子マネー、またコンビニ払いで行うことが可能になります。今後は、自動車の検査やパスポート発行などの支払い手続きにおいても、キャッシュレス対応にしていきます。


6.地方自治体のシステム標準化

地方自治体の業務システムを標準化し、業務負荷軽減へ。

地方自治体の主要な業務システムを標準化することで、職員の方々の業務負荷の軽減、またシステム改修の負担を減らしていくことが可能になります。

現在、行政の標準的な業務を「20の業務」と整理した上で、標準仕様書を作成し、公開を行っています。今後は標準化した地方自治体の行政システムをガバメントクラウドに順次移行していきます。


7.データ戦略

データの取扱いルールを策定し、官民が効果的に活用できるように。

政府としてデータ戦略の策定、行政データの整備、そして、それらを活用する準備をこの1年間で進めてきました。

具体的には、データ活用やデータ推進の考え方、また取組み方をまとめたフレームワークや方針を定めたり、グローバルレベルでのデジタル基盤構築に向けたデータ戦略を公開してきました。これからもデジタル社会の基盤となるデータを整備し、誰もが活用できるようにオープンにしていきます。


8.医療分野のデジタル化

医療分野のデジタル化により、医療や福祉の手続きが円滑に。

医療分野のデジタル化は、国民生活に直結する重要な取組みの1つです。マイナンバーカードの健康保険証利用を開始したり、マイナポータルで薬剤情報が閲覧できるようになったりと、施策を着実に進めてきました。

今後、便利な医療サービスを生活者がしっかりと受けられるように、また医療従事者の皆さまの負担を減らす取組みとしまして、全国医療情報のプラットフォームの整備や電子カルテの標準化を進めていきます。


9.教育分野のデジタル化

教育データの利活用のための標準化を支援。

デジタル庁では、GIGAスクール構想のもと、文部科学省と一緒に教育データの利用推進を進めてきました。教育のデジタル化の分野では「誰もがいつでも、どこでも、誰とでも、自分らしく学べる社会にしていくこと」をミッションに掲げ、この活動を推進しています。

直近1年は関係各省と連携し、教育データの利活用ロードマップの取りまとめました。今後はこのロードマップに基づいて、2025年を目途に教育データの活用のためのデータ標準化、アーキテクチャーの検討を実施していきます。


10.こどものデータ基盤整備

こどもの情報やデータを活用して、こどもを守る。

現在、貧困や虐待といった支援が必要なこどもを把握するために、関係機関とのデータ連携やデータ活用が求められています。

デジタル庁では関係各省と一緒にプロジェクトチームを立ち上げ、論点の整理、実証事業に向けたガイドラインの策定を実施しました。今後、実証事業の取り組みをまとめ、来年設置予定の「こども家庭庁」の取り組みにつなげていくことを予定しています。


11.デジタルインボイスの普及定着

事業者のバックオフィスのデジタル化を支援。

受発注や請求にまつわる書類が電子化されていくにあたり、システムや規格の違いによりデータ連携ができない、ということがないように標準仕様を定めてきました。この標準仕様は、国際標準仕様でもあるPeppolをベースにしています。

今後、会計システムや業務システムのサービスを提供する民間企業と連携を行い、事業者のバックオフィスのデジタル化などを強力に支援していきます。


12.デジタル田園都市国家構想の推進

地方自治体へ、データ基盤フォーマットの無償提供などを実施。

地方自治体が自由に活用できるデータ基盤フォーマットの無償提供や、地域の魅力をはかるための地域幸福度指標(Well-Being指標)などを展開し、市民を巻き込んだまちづくりの推進を行っています。現在約65の自治体がデータ連携基盤の導入を検討しています。

今後は地域課題に取り組む自治体の支援をしっかりと行いながら、地域経済の発展に向けた活動を関係各省としっかり進めていきます。


13.デジタル改革共創プラットフォームの活用

全国の地方自治体職員や府省庁職員との連携を強化。

各府省庁や地方自治体の職員の方々が情報共有できるプラットホームの活用を進めています。このプラットフォームはSlackを活用しており、日々、各省庁や地方自治体の職員同士がチャットでコミュニケーションをしています。

今まで情報連携が難しいとされていた地方自治体と府省庁の距離がとても近くなり、活発な議論を行える場として有効活用されています。引き続きこの場を活用し、国と自治体との連携強化を図っていきます。


14.デジタルの日の推進

日本社会全体でデジタルを考える「デジタルの日」を実施。

社会全体でデジタルについて考え、また振り返る機会として「デジタルの日」を設立し、昨年2011年10月10日11日にイベントを実施しました。このイベントで、民間企業や地域のデジタル活用支援を図っていきたいと思っています。

今年から毎年10月第1日曜日と月曜日を「デジタルの日」と、また毎年10月を「デジタル月間」と制定しています。民間企業としっかり連携を進めながら、社会全体でデジタル化の機運を高めていく活動を進めていきます。


15.ガバメントソリューションサービス

政府機関で生産性高く、柔軟に働けるような環境整備を実施。

今まで霞が関では、ネットワークや業務ツールの調達・整備は各府省庁でばらばらに行っていました。そのため働く環境、システムの仕様や品質、職員の業務体験は決して良いとはいえない状況でした。

これを解決すべく、霞が関全体に働きやすい環境をつくるために、デジタル庁では共通のネットワークやシステムを整備し、政府機関全体に提供していくことを検討しています。今後、各府省や関連機関と協議を行いながら、順次業務ツールやシステムの共通化を行っていきます。


16.DFFTの推進

世界をリードするデジタル政府に。

日本政府デジタル庁では、信頼性が担保された中でデータ活用を進めることが経済成長につながると考えています。この考えのもと、理念を共有する国々とプライバシー、セキュリティ、知的財産権など、データの流通に関する国際的なルールづくりの討議を行ってきました。

この1年では、ドイツでのG7デジタル大臣会合の出席をはじめ、デンマーク、エストニア、シンガポールとの協力覚書の署名、EUデジタルパートナーシップの設立など、諸外国との情報交換を進めています。今後、デジタル大臣会合の主催などを通じて、DFFTを具体的に推進していきます。


以上がデジタル庁が行ってきた取り組みの進捗成果になります。


さいごに

「デジタル庁は何をしているかわかりにくい」という声をいただいていることもしっかり認識をしています。その中で、この記事によって、デジタル庁の活動が皆さまへ少しでも伝わっていると嬉しく思います。

次回は本シリーズの最終回となります。「組織づくりと今後の取り組み」についてお伝えしようと思いますので、よろしければご一読ください。

また、デジタル庁では採用も積極的に行っています。募集職種も多岐にわたります。ご興味がある方はぜひ採用ページを御覧ください。皆さまからのご応募をお待ちしています。


外部リンク

マイナンバーカードの普及

マイナンバー(個人番号)制度

マイナポータルの改善

マイナポータル
マイナポータル(デジタル庁ウェブサイト)
デジタル監就任3ヶ月。サービス開発とチームづくりについて

事業者向けサービス・認証基盤の提供

補助金の電子申請をご検討の省庁・自治体の方へ
GビズID
GビズID(デジタル庁ウェブサイト)

省庁向けオンライン行政サービス

やさしいサービスをすばやく届ける、デザインシステムの取り組み
デザインシステム勉強会を開催しました

キャッシュレス法の成立

「情報通信技術を利用する方法による国の歳入等の納付に関する法律案」が第208回国会(通常国会)に提出されました
情報通信技術を利用する方法による国の歳入等の納付に関する法律案

地方自治体のシステム標準化の推進

地方公共団体の基幹業務システムの統一・標準化

データ戦略

プラットフォームにおけるデータ取扱いルールの実装ガイダンス ver1.0 公表 , 2022年3月4日
レジストリカタログ及びアドレス・ベース・レジストリのパイロットシステムの公開 , 2022年4月22日
政府相互運用性フレームワーク(GIF)の公表 , 2022年3月31日
マイ制度ナビの運用を開始 , 2022年7月29日

医療DXの推進

マイナンバーカードの健康保険証利用について
マイナンバーカードの保険証利用でみんなにいいことたくさん!

教育分野のデジタル化

GIGAスクールアンケート結果公表 , 2021年9月3日
教育データ利活用ロードマップ策定 , 2022年1月7日

こどものデータ基盤整備

こどもに関する情報・データ連携 副大臣プロジェクトチーム における論点整理
こどもに関する情報・データ連携 副大臣プロジェクトチーム
こどもに関する各種データの連携による支援実証事業の実証事業計画書と実証事業ガイドライン

デジタルインボイスの普及定着

JP PINT

デジタル田園都市国家構想の推進

デジタル田園都市におけるWell-Being指標の活用についての自治体職員等向けオンライン説明会を開催しました
デジタル田園都市国家構想の実現を後押しするためのデータ仲介機能の提供を開始しました
デジタル田園都市におけるWell-Being指標活用のためのβ版サイトが公開されました
自治体職員向け説明動画「デジタル田園都市におけるWell-Being指標の活用について」を掲載しました
デジタル田園都市国家構想推進交付金 (デジタル実装タイプ TYPE2/3) の採択結果

デジタル改革共創プラットフォームの活用

自治体職員×政府機関職員|デジタル改革共創PFへの招待申請フォーム
自治体職員×政府機関職員「デジタル改革共創プラットフォーム」が始まります

デジタルの日の推進

デジタルの日公式サイト
デジタルの日政策ページ(デジタル庁ウェブサイト)