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デジタル庁を最高のプロダクト集団に

みなさんこんにちは。

9月1日にデジタル庁にジョインして、1か月強が立ちました。Chief Product Officer(以下、CPO)の水島です。どうぞよろしくお願いいたします。

おそらく幹部の中では若手の部類に入ると思うので、デジタルネイティブの世代に近いやんちゃな意見を常に言い続ける、ということを意識しながらやっていこうと思います。


なぜデジタル庁に来たか


私は行政におけるデジタル施策において、アジャイルなプロダクトマネージメントをリードする幹部人材として参画させていただいてます。

入庁して早速いろいろなプロジェクトに巻き込まれはじめ、そして自分もデジタル庁内部で官民融合を加速させるためのプロジェクトを勝手に立ち上げて推進するなど、最初のカオスを楽しんでいます。

私がデジタル庁に来た理由は大きく3つあります。

- いちユーザーとして行政や日本国内のデジタル化に満足ができないことが多数あるから
- 民間人材を多数巻き込んでいくというデジタル庁のコンセプトに大きな期待と強い共感を持ったから
- 日本CPO協会の理事としてもプロダクトマネージメントの考え方を官民問わず普及すべきという使命感から

とにかく、自分が知りうるプロダクト開発のあらゆる知見を用いて、行政や自治体が提供するソフトウェア・プロダクトのクオリティーアップを自分自身の手でやっていきたいというのが私の想いです。

プロダクトマネージメントとは?

プロダクトマネージメントは、UX、テクノロジー、ビジネスの観点を有機的に連携させて、ユーザー体験と利益を最大化するためのプロダクト開発手法のことで、近年は日本語の書籍も多数出てきていますし、プロダクトマネージャーカンファレンスなどでもその知見が交換されています。

3つの円が互いに重なるように配置されている。円の中にはそれぞれUX、Tech、Businessと書かれており、3つの円がすべて重なる中心部分に向け矢印が引かれ、「You are here」と書かれている。

© Martin Eriksson, 2011
https://www.mindtheproduct.com/what-exactly-is-a-product-manager/

多くのスタートアップでは、このプロダクトマネージメントをリードする人材としてプロダクトマネージャーが活躍しており、エンジニアとデザイナーと共にスピード感を持ってソフトウェア・プロダクトの開発が行われています。

デジタル庁や行政は営利企業でありませんが、日本に暮らす人々に対してよりよい体験を提供し、国全体の生産性を向上させる、という観点においてはプロダクトの作り方は大きく変わらないと考えています。

CPOは何をするのか

デジタル庁のCPOは何をするのか。それは、散発的に作られてきた今までの行政や地方自治体のシステムを、特に国民向けのサービスを中心にプロダクトとして再定義し、日本のDXを加速させるプロダクトチームを組成していくことです。日本に暮らす人々に対してより大きな価値のあるサービスを提供できる体制とカルチャーを作り、私自身も単なるアドバイザーではなく、プロダクトのオーナーシップを(現場メンバーに嫌がられない程度に)もって、こだわって行動していこうと思います。

日本のIT化が遅れたのは、官民問わず、プロダクトマネージメントの実践の遅れも一因かと思っています。シリコンバレーや日本のスタートアップでは当たり前ともいえるプロダクト開発手法を日本の行政に持ち込み、まさに、Government as a Startup を実践していくことだと思っています。

そのために、私は大きく以下の3つのアクションを取っていきたいと考えています。

- 顧客の何を解決するのか、常にWhyとゴールを問うカルチャーの醸成
- 技術、データ、システムに高い解像度をもった意思決定が出来るリーダーシップの強化
- アジャイルな開発プロセスの導入、内製開発組織の構築と拡大

顧客の何を解決するのか、常にWhyとゴールを問うカルチャーの醸成

これはデジタル庁のミッション・ビジョン・バリューのバリューに定義されています。これは、デジタル庁がプロダクトマネージメントをやっていくんだぞ、という宣言なんだと私は捉えています。

顧客を中心に考えて価値を生み出すことはプロダクトマネージメントの中核であります。まだまだそのためのテクニックや徹底度合いを含めて強化できるポイントがまだまだあるなとこの1か月で感じているので、先頭に立って示していかなければならいと感じています。

具体的には、顧客の声を聴き、データを見て、プロトタイプやMVP(Minimum Viable Product)を使って常にユーザーと対話しながらサービスの価値を検証していくプロセスの癖つけです。そのためにも、顧客の価値を計測できる皆が目指すべき指標(ノーススターメトリックスと呼びます)を明らかにして、ただし数値だけを単に追うのではなく、本質的なゴール設定を行い、全力で走ることができるカルチャーを作ることも必要だと考えています。そこを内部で常に問い続けながら強化していきたいと思います。

地面に白い粉でハテナマークが描かれ、その手前に1足の白いスニーカーが1足置かれている。

PexelsのAnn Hによる写真

技術、データ、システムに高い解像度をもった意思決定が出来るリーダーシップの強化

心強いことに開発経験豊富な民間メンバーが多数います。特にアーキテクチャーに関する深い知見をお持ちの方が多く、この素晴らしいアーキテクト集団と共に高いシステム解像度を持って、顧客UXや法令法案と混ぜ合わせて、ベストな意思決定をするためのファシリテーションもプロダクトマネージャーとしての重要な動きになると考えています。

特に、行政サービスにおいては、セキュリティーとUXのトレードオフ議論が多数発生するので、熟慮しながらバランスの取れた意思決定していく必要があるなと考えています。

早速各府省から集まった既存のシステムやデータ郡がありますが、自分たち自身の手でオーナーシップを持って、全体のアーキテクチャーとプロダクトが提供する体験を深くコントロールしていき、具体的なプロダクトの構成とそのチーム、ロードマップの議論をリードしていく必要があると考えています。

パソコンの画面に、プログラムのコードが表示されている。

Pexels

アジャイルな開発プロセスの導入、内製開発組織の構築と拡大

デジタル庁に来て最初に驚いたのが、システムは「調達」するものだと皆が呼んでいるということでした。まるでハウスメーカーでボンっと一軒家を作るように、そして「調達」後にメンテナンスしながら経年劣化したら作り直す。そんなニュアンスに聞こえてしまいました。

ウォーターフォール型の開発は否定しませんが、特にエンドユーザー向けのUI/UXが重要なシステムについてはプロダクトとして再定義し、内製チーム化、アジャイル開発プロセスに変更していく必要があると考えています。中長期を見据えたバックエンドの全体アーキテクチャーだけでなく、どこを高速に進化させるべきプロダクトになり得るのかを見定め、疎結合に切り出してプロダクトチーム組成をしていこうと思っています。

まだ少数ではありますが、アジャイル開発の経験者も民間からジョインしており、プロダクトマネージャーも私のユニットラインに8名ほどいます。もちろん各省庁時代から案件のオーナーシップと高い解像度を持つ職員の方々もいらっしゃいます。切り出したプロダクトチームは、徹底的にプロダクトのクオリティーとスピードにこだわっていただきたい。システム的な欠陥だけなく、UI/UXの欠陥をクイックに取り除き、磨きながら、次の非連続なインパクトを出す施策のトライ&エラーを始める。そんなチームを作り出していきたいと考えています。まるでひとつのスタートアップのように。

ホワイトボードにたくさんの付箋が貼られている。ピントが合っている部分には「This Week」と書かれており、開発プロセスの管理をしているボードにみえる。

Pexelsのcottonbroによる写真

最高の行政プロダクトを一緒に作りませんか?

まだまだ始まったばかりのデジタル庁。プロダクトマネージメントもこれから実践していく段階です。我こそはという方、ぜひ一緒に最高のプロダクトチームを作って世界に誇れるハイクオリティーな行政プロダクトの開発をしてみませんか?

多数の国民向けプロダクトの開発プロジェクトがあり仲間を募集しています。

プロジェクトマネージャーやプロダクトマネージャー以外にも、プロダクトデザイナーなどのデザイナーも募集しています!

デジタル庁のミッション・ビジョン・バリューに共感いただける方からのご応募をお待ちしています。


◆デジタル庁の中途採用に関する情報は以下のリンクをご覧ください。

◆これまでの「デジタル庁の職員/チーム紹介」記事は以下のリンクをご覧ください。


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