デジタルエコノミー分野で活躍する金融DXの専門家がデジタル庁で働く意義
デジタル庁では、政府の様々な金融関連システムをデジタル化していくため、金融業界での基幹システム開発やDX、BPRの経験を持つプロジェクトマネージャーやフロントエンドの開発エンジニア、システムエンジニアの方々を募集しています。
「金融機関の公共性(信用秩序の維持等)の高さと行政組織との共通点(親和性) が多くあります。金融業界でデジタル化に取り組まれた経験やフィンテックに関わった経験がある方は、ぜひデジタル庁でも力を発揮してほしいです」と語るのは、民間の金融業界出身の早瀬 千善、大久保 光伸、岡田 拓郎の3人です。
今回の記事では、デジタル庁でのチャレンジや働く意義に加え、3人が所属するユニットで求められるスキルについて話を聞きました。
金融業界からデジタル庁へ参画した3人
デジタル庁には様々な業界から人材が参画しており、金融業界出身の人材も数多く在籍しています。金融業界出身とはいえ、一人ひとりの経歴は多様です。
早瀬は民間IT企業でグループ内金融事業とのITシナジーの推進を担当。大久保はメガバンクのCTO(最高技術責任者)を歴任し、岡田は社団法人の代表として金融業界横断のデータ活用に関する仕事に携わっています。
早瀬:
私は前職のIT企業に、アプリケーションエンジニアとして入社しました。2000年の終わりくらいに入り、それから約20年在籍していました。その企業はeコマース事業から始まり、その後にネット証券やネット銀行などの金融事業にも進出しています。
私も途中から金融事業に入りまして、PMIとして社内IT統合等の主にシステム面でのシナジー推進を行いました。デジタル庁には2021年の9月に入庁しています。完全に転職という形で、審議官として週5日デジタル庁の仕事をしています。
大久保:
私のキャリアは米国での起業に始まり、帰国後は独立系のSIerでインターネットバンキングのアーキテクトや外銀とのブリッジSE等を担ってきました。
銀行では通算で12年勤め、日本の金融機関では初となるパブリッククラウドへの移行や銀行APIを活用した新規事業開発を主導しました。
副業制度の解禁に伴い、行員でありながら内閣官房 政府CIO補佐官に着任し、デジタル庁の創設に向けて一番に手を挙げさせていただきました。
現在はフィンテックの統括担当として週に3日デジタル庁の公務に従事し、2日はアントレプレナーとして地方自治体を中心に情報格差の是正をはじめとする社会課題の解決に取り組んでいます。
岡田:
私は金融業界で15年にわたってデジタルに関する仕事をしています。地方銀行に新卒で入社して、4年半くらいインターネットバンキングの開発や決済関連の送金システムの業務を担当していました。
その後、全国銀行協会で働いたのち、信託銀行に転職してフィンテック分野を所管し、AI・データ活用組織を立ち上げました。また、金融業界横断のデータ活用に関する社団法人を立ち上げ、代表を務めております。
デジタル庁には2021年の2月に入庁し、公金受取口座登録システムを担当しました。今は週に3日勤務しています。残りの2日は、社団法人の代表の仕事やスタートアップの社外取締役の仕事をしています。
デジタル庁の金融サービスチームに求められるスキル
デジタル庁では、様々な分野で内製化を進めており、金融の専門家の活躍できる場が数多くあります。具体的にどのようなスキルが求められるのか聞きました。
早瀬:
金融業界では厳格な組織文化と堅固なシステムにより、DXには様々なチャレンジがあり、簡単にはいきません。そのような苦労を経験された方にとってデジタル庁の業務は親和性が高いです。
一方、これからチャレンジされようとしている方にとっても、デジタル庁の業務経験を通じて多くの学びがあると思います。
デジタル庁には、共通機能を整備し政府全体で活用するという 基本戦略があります。共通機能の1つとして決済基盤も検討されています。こうした金融関連の共通機能整備を進めるには、専門性を持つ人材が必要ですが、まだ足りていません。ぜひ、金融業界での専門スキルを持つ方に参画いただきたいです。
大久保:
私たちは、各府省庁のPMOの方々と一緒に政府全体のDXを推進しています。DX推進において行動指針になるのは政府標準ガイドラインであり、「ITガバナンス」と「ITマネジメント」それぞれに求められるスキルが異なります。
ITガバナンスでは、金融機関の情報システム部門や金融業界のITコンサルタント、監査法人等のスキルが役立ちます。
一方でITマネジメントでは、もう一段ベンダー寄りで実務レベルのスキルが必要です。システム開発の内製化に加え、アーキテクチャ設計を含むシステム化計画の策定や業務のBPRを実行できるスキルを持つ方が求められます。
各府省庁の職員と共に政府情報システムのデジタル化を推進できる、金融業界でシステム開発に携わってきた方を募集しています。下記の経験やスキルをお持ちの方は特に歓迎します。
ガイドライン: FISC安全対策基準、PCI-DSS、PSD2、GDPR、ISO20022 等
監査: AML/CFT、COBIT、RegTech、SupTech 等
BPR: BPMN、ECRS+AO、SWOT、エンタープライズアーキテクチャ 等
技術: クラウド、AI、データ分析、RPA、Webフレームワーク 等
どのような人がデジタル庁の金融サービスチームで活躍できるか
行政組織と金融業界は似ているところも多く、働く上でのギャップはほとんどなかったと言う3人。どのような人が金融サービスチームで活躍できるか聞きました。
早瀬:
業務内容から考えても金融出身の方は活躍しやすいです。人物面では、変化に柔軟に対応できる人が活躍できると思います。デジタル庁は設立して間もない組織です。まだ課題もあるので、しっかりと課題を整理して、周囲を巻き込んでプロジェクトを進められる方が向いています。
岡田:
新しい環境を楽しめる人です。課題は多いので、優先度を決めて進めていく必要があります。そのためには自分だけではできないので、周りを巻き込んで諦めずに進んでいく。そういう新しい環境を、楽しんでいける人が活躍できると思います。
デジタル庁で働く意義と応募者へのメッセージ
金融業界からデジタル庁に参画した3人は、自身の経験を元に政府のDXを推進しています。最後に、デジタル庁に参画いただける未来の職員へのメッセージを聞きました。
大久保:
民間と明らかに違うのは、社会のルールである法律の改正に絡めることです。新しいことにチャレンジすると、できない理由を並べられて案件が進まないご経験をお持ちの方も多くおられるのではないでしょうか。
その点、デジタル庁で衝撃を受けたのは、「改善に必要であればルールを見直せばよい」というデジタル担当大臣の発想です。
実際、デジタル改革を推進するデジタル臨時行政調査会において法律の見直しが行われていますが、我々が推進しているキャッシュレス案件についても恩恵を受けています。
また、企業間取引の案件では、官民連携によって標準データモデルが策定され、GIF(Government Interoperability Framework)への定義が進められています。
政府の一員としてオープンイノベーションに取り組む貴重なチャンスでもありますので、世界における日本のプレゼンス向上を目指し、共にデジタルガバメントの実現に挑んでいきましょう。
岡田:
金融機能の実装をデジタル庁で進めていく上で、人材がまだ足りていません。金融規制のノウハウや理解など、金融業界で培ってきたスキルは必ず活きます。知識を活かして公共性の高い仕事ができることは、やりがいを感じるはずです。
また、デジタル庁では様々な人と出会えます。金融業界という枠を超え、社会課題を解決したいという志の高い方が多いです。自分自身の人生の糧にもなるし、刺激にもなります。成長できる環境です。
公共性の高い業務をしたいと考える金融業界の方も多くいると思うので、ぜひ一緒に働きましょう。
早瀬:
DXには堅い組織を変えるためという側面があり、皆さん悩まれていらっしゃる。あるいは、頓挫しているところもあると思います。デジタル庁のような政府機関 でDXをうまくできたら、他ではできないことがないくらいの自信がつくはずです。
中身の詰まった経験ができるので、それを期待して参画いただければと思います。
その他のチームメンバー紹介
◆デジタル庁の中途採用に関する情報は以下のリンクをご覧ください。
◆これまでの「デジタル庁の職員/チーム紹介」記事は以下のリンクをご覧ください。