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自分の課題意識が、すべての人の“便利”につながる。職員が語るデジタル庁の仕事の魅力

デジタル庁では、国家公務員を目指す学生を対象に、業務説明会や座談会などのイベントを随時実施しています。2023年12月には「公務研究セミナーin霞が関」をデジタル庁で開催しました。

セミナーでは、現役職員が今携わっている業務やデジタル庁の魅力・特徴をお話ししました。デジタル庁公式noteでは当日の模様を再構成してご紹介します。

◆これまでの公務研究セミナーの記事はこちら。

「法令」×「デジタル」で、世の中をもっと便利に。


デジタル法制推進担当の山内ががセミナーに登壇している際の写真
デジタル法制推進担当の山内

法令等のデータ利活用促進や法制事務のデジタル化を担当している山内です。学生時代はコンピュータサイエンスを専門分野として学び、2012年に総務省へ入省しました。2022年6月からデジタル庁に出向しております。

総務省では地デジや4K・8Kなど放送技術の国際標準化、モバイル事業の競争政策、無線機器を用いたサービス開発を促進する特例制度の創設、法令を編集・管理する法制事務などを担当しました。

総務省で法制事務を経験してからこの分野に課題意識を持ち、自分でも趣味として法令データを分析したり、「法令API」を利用したアプリを開発し、オープンソースで公開したりしています。これらの経験も活かして、デジタル庁では法令×デジタルの分野に取り組んでいます。

現在の業務内容について

デジタル庁では、法制事務のデジタル化と法令データの利活用促進に携わっています。具体的には、信頼できる最新の法令情報を、だれもが、どこでも、タイムリーに入手できるようにするためのデータベース「e-Gov法令検索」や法令データを広く再利用していただくための「法令API」整備、行政職員が行う法制事務のデジタル化に関わっています。

政府の法令に関する事務は、昔から紙をベースにおこなわれてきました。ただ、法令というものは日々新たにつくられ、改正もされており、しかも厳密性が求められるので、デジタルによる効率化が求められています。

私は仕事で法令を編集したときに、プログラマとしての視点から、「コードを書くこと」と「法令を書くこと」には似ているところがあるなという感覚を持ちました。

ただ、プログラムを書くための便利なツールは世の中に色々ありますが、法令を書くために使うのは一般的なワープロソフトで、法令のための支援機能はありません。いわばプログラマが「メモ帳」でコードを書いているようなもので、非効率的ですし、誤りにも気づきにくい。万が一、法令の表記を間違えてしまったら取り返しがつきません。

総務省で法制事務に関わった時、「法制事務は絶対もっと便利にできるし、職員の負担軽減のためにも便利にしなければ」という、課題意識が芽生えました。そこでデジタル庁に出向する機会をいただき、法制事務のデジタル化業務を担当させていただけることになりました。

たとえば、作成した法令の文章の体裁を確認するのであれば、プログラムを使えば効率化することができますし、法令データのフォーマットを定めて、原本となる照会先の法令データを整備すれば、法令の改正時に正しく改正できているか確認することもできます。

また、法令データを再利用できる形で公開することで、アクセシビリティの向上にもつながります。さらには、民間の事業者や開発者が、高度な専門サービスや、一般の方向けにデータを加工して提供するサービスなどのような、便利なサービスを開発することができるようになります。現在携わっている「e-Gov法令検索」や「法令API」は、こうした課題解決に役立てられるものです。

もう一つの業務内容をお話しします。私はデジタル庁で、他のプロジェクトにも携わっています。その一つが「デジタル社会推進標準ガイドライン」の取り組みです。

行政サービスに関わる膨大な業務をデジタル化で効率的にし、利便性を高めるためには、共通のルールを定めたり、ノウハウを共有することが必要です。そのためのドキュメントが「標準ガイドライン」です。デジタル庁では、「標準ガイドライン」として政府の業務に関わる情報システムの整備やシステムの運用方法に関する共通ルールを定め、またノウハウを整理してほかの府省庁にシェアすることで、行政の効率化と利便性の向上を目指しています。

国家公務員を志した理由

もともとコンピュータサイエンスを学んでいたので、その知見を活かして「世の中を便利にしたい」と思ったのがそもそものきっかけでした。理系のバックグラウンドがあったため、技術系の行政官として、情報通信技術を所管する総務省に採用されました。

「世の中を便利にしたい」とお話ししましたが、その方法も様々なものがあります。たとえば、「技術」の知見を活かして何らかシステムを作ったり、サービスを作ったり。ただ、「技術」だけではできないこともあります。それが、行政だからこそできる役割の一つだと思います。

たとえば、「こういう仕組みがあったら世の中の役に立てるかもしれない」というアイディアを導入するためには、システムだけでなく、法制度や政策をつくり、整え、運用する必要があります。ある意味で行政の仕事は「社会制度をプログラム、コーディングする」ものかもしれません。総務省とデジタル庁でいろいろなお仕事をさせていただく中で、そんなことを考えるようになりました。

「国家公務員になるにあたって勉強しておくべき専門知識はありますか?」と心配なさる人もいると思います。行政機関では様々な分野を扱うので、何かの専門分野にアサインされた時点では、その分野に関する知見を持っていないことはよくあることです。

私も総務省に入省したとき、最初の担当はテレビの放送技術や国際標準化に関わることでした。ただ、当時の私はテレビに使われる技術は専門外で、専門知識を新しく勉強する必要がありました。

ですので、はじめは担当する分野の専門知識がなくても心配はありません。専門家に話を聞いたり、自分で色々と調べたりする機会など、勉強できる機会はたくさんあります。今取り組んでいらっしゃる専門分野があれば、新しい分野の勉強にもきっと役立つと思いますので、是非追究してみてください。

また、行政機関に勤めていると2年ほどで「異動」があり、異動先でまた新たな専門知識を身につけることになります。知らないことがあるのは当たり前である一方、勉強しなければいけないことも多いのですが、仕事の経験や学びを積み重ねると色々な専門知識をどんどん身につけ、新しい強みとして組み合わせることができます。私も、デジタルと法令、この二つのかけあわせが今の自分の強みであり、自分にとって仕事の“柱”でもあります。

デジタル庁の魅力・特色について

エンジニアや弁護士、デザイナーなど、デジタル庁はさまざまなバックグラウンドの方が集まる職場です。どうすれば行政サービスをよりよいものにできるかを議論すると、とても勉強になることが多く、刺激を受けています。

通常の行政機関ではプログラミングの話などは日常会話の中にほとんど出てこないと思います。しかし、デジタル庁は行政機関でありながら、専門的なデジタル技術に関する話が常に話し合われている。内製でツールをつくり、導入できるほどの知識やスキルを持つ職員もいます。行政出身としては「行政機関でこんなことができるのか」と驚きました。

日々の業務の中でも、「この政策課題には、このツールが使えそうだ」「じゃあやってみようか」と積極的に動くことができる環境です。他人任せにせず、デジタル技術を使って自ら業務を改善しようという考え方が庁内全体に浸透している。これはデジタル庁ならではの特色だと思います。

全てが「自分ごと」になる。だからこそ、やりがいがある

ヒューマンリソースユニット所属の下山がセミナーに登壇している際の写真
ヒューマンリソースユニット所属の下山

ヒューマンリソースユニット所属の下山です。デジタル庁が発足して間もない2021年12月に入庁し、現在は人事制度の設計や運用などに携わっています。

これまでの経歴、現在の業務について 

2004年に大学を卒業し、求人広告や就職情報を扱う企業や外資系の製薬会社で15年ほど勤めました。その後にフリーランスとして独立しましたが、一貫して企業の人事組織支援に関する仕事をしてきました。

日本の大企業からスタートアップ、さらに外資系と、いろいろな組織の人事に関する業務を担当してきました。中でも、人事制度や組織文化をつくることがメインのキャリアです。

発足間もない頃に入庁したこともあり、ほぼゼロから民間出身の人材向けの人事制度を作る仕事をやってきました。エンジニアやデザイナーなどさまざまな専門性や異なるバックグラウンドを持つ人材が集う行政機関でもあるので、共通目標であるミッション・ビジョン・バリューを軸に、情報をオープンに共有していくというデジタル庁ならではの姿勢に合わせたカルチャー形成にも取り組んでいます。

デジタル庁を目指した理由 

入庁しようと思ったのは、自分のキャリアの転換期での体験にあります。

会社員だった頃は、所属していた企業の担当部署の人に様々な事務手続きをやっていただきました。ところがフリーランスになって、いざ自分で手続きをしようと役所に行ってみたら、デジタル化が進んでいなくて、手続きがとても不便で……。手続き方法を説明しているホームページもわかりづらかったんです。

「世の中がもっと便利になるといいな……」と思った矢先、発足したばかりのデジタル庁が民間出身の人材を積極的に採用していることを知りました。

行政機関で働くということは、この国に暮らす全ての人に向けた仕事をすることです。そして、自分や自分の家族も国民の一人として行政サービスを受ける「自分ごと」になる領域です。そんな行政機関での仕事は未知の領域ですが、先ほどお話しした原体験もあって、「自分の知見を活かして社会のデジタル化の役に立つチャレンジがしたい」と思い、応募しました。

デジタル庁の魅力・特色について

一番やりがいを感じるのは、自分の仕事が「この国に暮らす人々の生活につながっている」と実感できることです。仕事は大変ですが、「誰かのためになる」という実感が湧くことは、それを乗り越えるモチベーションになります。

デジタル庁では月に一度、オフィスにおける憩いの場でもある芝生スペースで「オールハンズミーティング」という全庁集会を開催します。大臣、副大臣、大臣政務官の政務三役やデジタル監などの幹部をはじめ、あらゆる職員がリアルとリモートで集まり、庁内の動きやプロジェクトの進捗を共有しています。幹部と職員同士の距離が近く、コミュニケーションがとりやすいことも、デジタル庁のいいところだと思います。

職員のバックグラウンドがさまざまで、自分にはなかった視点を勉強できることもデジタル庁の魅力です。ただ、出身は違えどみな同じ「デジタル庁の人材」です。みんなが前向きな姿勢で、「新しい組織を一緒に作っていこう!」という意志を感じ合えるところも個人的に好きです。

私の専門領域は人事ですが、同じ「人事」であっても民間と行政では仕組みが異なります。たとえば民間の現場では「労働基準法」や民間の労働者向けの法律を見ながら仕事をしてきましたが、行政機関では国家公務員法や人事院規則といった国家公務員制度に関する知識が必要です。それでも、知らないことや新しいこと、学びたいことにどんどん出会えることはとても楽しい。そういう意味でデジタル庁は、自分自身が成長できる場だと思います。


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