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「世界各地でアクセシビリティを考える一日」にデジタル庁が参加

デジタル庁では、「誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化を。」をミッションに掲げ、誰もがデジタルの恩恵を受けられる社会となるような取り組みを進めています。その取り組みにおいて重要なキーワードの一つが「アクセシビリティ」です。

今回は、5月に開催されたアクセシビリティに関するイベント「GAAD Japan 2024」への参加レポートとともに、デジタル庁のアクセシビリティ向上の取り組みについてご紹介します。


GAAD と GAAD Japan 2024

毎年5月の第3木曜日は、GAAD(Global Accessibility Awareness Day:ギャード)「世界各地でアクセシビリティを考える一日」です。2012年から世界各地でデジタル分野(Web、ソフトウェア、モバイルなど)のアクセシビリティを啓発する日となっています。

日本でも、オンラインイベント「GAAD Japan 2024」が2024年5月16日(木曜日)に開催され、一昨年、昨年に引き続いてデジタル庁として登壇する機会をいただきました。

当日のイベントでは、デジタル庁担当セッションのほかにも、

  • インクルーシブデザイン

  • 視覚障害者とeスポーツ

  • やさしい日本語

  • 聴覚障害

  • PDFのアクセシビリティ

などをテーマとしたセッションがあり、まさに「アクセシビリティを考える一日」にふさわしい時間となりました。

デジタル庁担当セッション

デジタル庁が担当したセッションタイトルは、【「誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化を。」~デジタル庁のミッション実現に向けたアクセシビリティ向上の歩み2024年進捗報告~】です。

GAAD Japan 2024 セッション紹介画像:セッションタイトル【「誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化を。」  ~デジタル庁のミッション実現に向けたアクセシビリティ向上の歩み2024年進捗報告~】と登壇者 デジタル庁アクセシビリティアナリスト 伊敷政英(いしきまさひで)・清家順(せいけじゅん)と開催日などが記されている。
GAAD Japan 2024 セッション紹介画像

一昨年のセッションタイトルは、

  • 誰一人取り残されないデジタル社会を目指してデジタル庁のウェブアクセシビリティ改善の取り組み

昨年は、

  • 「誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化を。」~デジタル庁のミッション実現に向けたアクセシビリティ向上の歩み~

でした。

代わり映えのしないタイトルと思われるかもしれません。しかし、デジタル庁のミッションにある「誰一人取り残されない」に向けて、デジタル庁あるいはアクセシビリティチームが、日々、どのような思いを抱き、どのような業務を推進してきたのかをお話しする場となっています。

セッションでお伝えした3つの取り組み

今年のセッションでは、最近の主な取り組みとして、下記3つのトピックスについて触れました。

  1. デジタル庁ウェブサイトのリニューアル

  2. マイナポータルのアクセシビリティ改善

  3. ウェブアクセシビリティ導入ガイドブック改訂

各媒体やツールの目的・特性は異なっていますが、それぞれについて庁内外のリソースの見極めを行ないながらアクセシビリティ向上に取り組んできたことを、直面した課題なども含めてお伝えしました。

本記事では「1.デジタル庁ウェブサイトのリニューアル」についてのみご紹介します

デジタル庁ウェブサイトリニューアルに伴うアクセシビリティ試験

投影資料の一部:見出しには「2023年10月30日 デジタル庁ウェブサイトがリニューアル」とあり、リニューアル時のスクリーンショットが添えられている。リニューアルまでに、Figmaデザイン案のアクセシビリティチェックやテンプレート(CMS実装前)のアクセシビリティチェックがなされ、リニューアル後に、JIS X 8341-3:2016試験が実施されたことが記されている。
投影資料の一部

ウェブアクセシビリティとは、障害の有無や程度、年齢や利用環境を問わず、誰もがウェブで提供されている情報やサービスを利用できること、またはその到達度を意味します。
デジタル庁ウェブサイトにおいてウェブアクセシビリティを確保することは極めて重要です。しかし、アクセシビリティを確保していると「なんとなく」表明することはできません。実際のウェブサイトが十分なアクセシビリティを備えているかを(ウェブアクセシビリティ基盤委員会が示す対応度表記に基づいて)表明するには「JIS X 8341-3:2016に基づく試験」で確認する必要があります。

急に難しく感じられるかもしれませんが、ウェブアクセシビリティの公的規格が存在しており、対象とするウェブサイトが規定される技術要件を満たしているか、それを客観的に評価する必要があるのだとご理解ください。

デジタル庁ウェブサイトでは、前回、試験結果を2022年8月31日付で表明しました。そして、2023年10月30日にリニューアルした新たなデジタル庁ウェブサイトに対して改めてアクセシビリティ試験を実施しました。その際の試験結果から得られたポイントは以下の通りです。

試験対象を広げることで正確に状況を把握

ウェブサイトと一口にいっても、通常のHTMLで作成されたページだけでなく、PDF・動画などさまざまなファイル形式でコンテンツが公開されています。デジタル庁では、HTMLに留まらずPDFも試験対象に含めることで、実態をより正確に把握し、アクセシビリティ品質改善につなげるよう努めました。実際に、HTMLと比べ、PDFファイルで多くの課題が見つかりました。

ファイル作成時点での取り組みが重要

多くの課題が見つかったPDFファイルにおいても、資料種別によって問題の性質が異なることが確認されました。議事次第・議事録・会議資料とプレゼンテーション資料とでは、レイアウトの複雑さ、図版の有無などに差異が大きく、また作業環境(OSやフォント)や作成ツールの特性がアクセシビリティ品質に影響していることから、ファイル作成時点で留意すべき点についての庁内共有の必要性を強く感じました。

参考:ウェブアクセシビリティ検証結果(表明日:令和6年(2024年)4月1日)

今後の取り組み

今後の取り組みとしては、プロジェクトの具体を公表できないケースも多いため、あらゆるサービスやプロダクトに一貫した方針として以下のことをお伝えしました。

不断の努力

  • 絶えず作成・更新されるコンテンツに向き合っていきます。

  • HTMLだけでなく各種ファイルの品質にも向き合っていきます。

新しいガイドラインを使った取り組み

  • WCAG 2.1/2.2達成基準の取り込みを積極的に進めています。

  • 関連組織・団体との協調連携をより進めていきます。

庁内理解・啓発の取り組み

  • 各プロセスでアクセシビリティ向上に取り組みます。

  • ルールの「監視者」ではなく、品質向上の「伴走者」として取り組みます。

さいごに

「誰一人取り残されない」を目指した取り組みを進めていますが、日々改善を進めながら、新たな成果についての発信も続けてまいりますので、お付き合いいただけますと幸いです。

なお、この記事では、5月16日(木曜日)に開催されたイベントを中心に記してきましたが、デジタル庁公式noteでも「世界各地でアクセシビリティを考える一日」に呼応した記事を掲載しています。この機会にぜひご覧ください。