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初代デジタル監 石倉洋子より退任のご挨拶

日本のデジタル化を目指して、総理をリーダーに、全く新しい組織として2021年9月1日にデジタル庁が発足しました。多様な経験やスキルを持つ官民の人材が協働して、デジタル化を目指すという壮大なビジョンの下、私に初代デジタル監として就任しないかというお話をいただきました。

デジタル庁には明快なミッションがあり、その実現を目指して、司令塔となろうとするデジタル庁の活動に直接参加できるという機会は、常に「新しいことを目指す、与えられる機会は掴む」ことを実践しようとしている私にとっては、またとない機会だと感じました。

私はデジタルやテクノロジーの専門家でもありませんし、これまで大学院や民間企業での経験がほとんどで、公務員として政府の仕事をしたことはほとんどありませんでしたが、新しい組織において、官民の多様な経験を持つ人材が活躍できるように、これまでの戦略や組織の活動、それも日本の組織だけでなく、海外との交流、協働を通じて得られた私の知見や経験が活かせるのではないか、と考え、お引き受けしました。

新しい組織の立ち上げにはつきものですが、スピードを重視する中、デジタル庁が発足した当初、人材の手当て、組織やプロセスの詳細設計などは必ずしも十分とは言えませんでした。プロジェクトの数も多く、新規業務と継続業務が入り混じり、官民の多様なバックグラウンドの職員が集い協働する中、率直に言って、次から次へと多くの課題が登場しました。

どうやってそれを乗り越えるか、は常に私も含め、多くの職員の頭を悩ますものでしたが、職員の皆さんと一緒に走りながら考え、一つ一つ進めていくことにしました。具体的には、デジタル庁のミッション、ビジョン、バリューの議論を続け、職員が共有できるような試みをし、どれだけ共有され、組織が回っているかを調べるために、組織サーベイなどを行ってきました。この活動から、最近多くの組織で行われているオールハンズ·ミーティングを、大臣も参加していただき、続けています。また組織サーベイなどの結果から全職員を対象とした1on1ミーティングを行ったり、一人一人の職員の担当している職務を「見える化」し、それを整理する活動など内部での改革を進めてきました。

もちろんまだ十分ではないですしこれからも続けていきますが、こうした活動が4月までに一定の目途がつき一段落することから、デジタル庁は初期の立ち上げフェーズから次の段階に入っていく時期にきていると感じています。このため、当初の私の役割を終え、適切なタイミングで次の世代に引き継ぎたいと考えていました。
このタイミングでの交代をお許しいただいた総理、牧島大臣には大変感謝しています。

先日は新たなメンバーであるデジタル庁第1期生をお迎えしましたし、色々な組織からさらに多くの職員が参加されることになり、デジタル庁が、さらに大きな発展を遂げることを希望しています。

これまで多くの皆さんに、色々サポートしていただいたこと、特に初めての経験が多かった私の疑問を、デジタル庁をより良い組織にしようという意図からと捉えて、そのまま受け入れていただき、解決への歩みを進めようとしていただいたことには本当に感謝しています。

次の若い世代を中心にデジタル庁が日本全体のビジョンを実現できるように、私も側面から応援したいと考えています。ありがとうございました。

石倉 洋子

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