「事業者でも、行政職員でもなく、あくまで国民のための調達システムを」 MVP受賞者対談(5)
デジタル庁ではミッション・ビジョン・バリューを大切にしながら、日々業務に向き合っています。そこで、より素晴らしい姿勢で業務に取り組む職員を表彰すべく、MVV Awardという施策を始めることにしました。
今回は、MVV Awardとはどのような施策なのか、「Startup Award」を受賞した調達支援改革チームの門馬圭一、成島大輔、玉置亮、岸井涼の取り組みを紹介したいと思います。
MVV Awardとは
組織文化醸成を目的に、デジタル庁のミッション・ビジョン・バリューを体現した組織と個人を表彰し、ロールモデルとして庁内に共有することで、ミッション・ビジョン・バリューのさらなる浸透を図る取り組みです。
個人賞4部門、全社MVP、プロジェクト/チーム賞の表彰項目があり、半期に一度全職員の中から選ばれます。今回は、プロジェクト/班/チーム賞において、「Startup Award」を受賞した調達支援改革チームから、4人にインタビューを行いました。
各府省庁の調達システムをより使いやすいものに
――最初に、調達支援改革チームがどんな業務をしているのか教えてください。
門馬:
調達とは、デジタル庁で政策の実現やプロジェクトの推進に必要な物やサービスを、外部から購入・確保し、使用できるようにすることをいいます。
調達業務に従事する各プロジェクトチームの担当者や会計・契約担当者から課題を聞き、後方支援という形で一緒に解決していきます。
例えば、ルールの策定やガイドラインの改訂、マニュアルの充実化といった業務がありますね。
国にとって最も価値があるモノを、透明性や公平性を保った上でいかに早く調達できるようにするかを目標としています。
――デジタル庁に入る前は、どのような業務に携わってこられたのでしょうか?
玉置:
私はIT企業の出身です。もともとは、省庁関連のLANシステムに関する営業をしていたので、民間の立場から調達に関わっていました。
ルールを検討する側になるとは思っていませんでしたが、民間での経験や知見を生かしながら日々の業務に取り組んでいます。
岸井:
私も民間企業の出身者で、(2021年)3月までは調達システムに関わる営業をしていました。
行政内部を変革させることも大切ですが、相対する民間事業者やその先でサービスを享受する国民の皆様がいるということを大切に、仕事ができたらと思っています。
成島:
私は国交省出身です。これまでは地方で勤務していた期間も長く、インフラ発注の観点からITS(Intelligent Transport Systems)関係や災害対応を経験してきました。
デジタル庁で働き始めてからは、省庁によって調達の仕方が違うことを身をもって感じていますね。
門馬:
私は財務省主計局の出身で、予算編成、財政法や会計法など法規関係に携わりました。もともと各省庁から調達関連の悩みを聞いてきたので、このチームに入れて嬉しいです。
――調達チームで今取り組んでいる業務を教えてください。
門馬:
2022年6月に、デジタル庁で「調達改革検討委員会」が発足しました。私たちのチームは、その事務局を担当しています。
この会では来年2月までに検討結果をとりまとめ、それをもとに情報システム調達のルールの見直しや新しい取り組みを実行していく計画です。
岸井:
情報システムの調達改革は「正しい答えのない」取り組みなので、デジタル庁だけで完結することはできません。
各府省庁、各自治体の担当者や外部有識者の方から意見を聞きつつ、「情報システム調達はどうあるべきなのか」を地道に検討しています。
――デジタル庁を皮切りに全府省庁の調達をより使いやすいものに変えていくことが、調達チームの大きなミッションの1つなんですね。
成島:
はい。デジタル庁の成り立ちにも関わる話ですが、私たちは各府省庁の情報システムに対して、横串を刺していく取り組みが求められています。
積極的にリードしていくためにも、まずは一つひとつアクションを起こしていくことが重要だと考えています。
さまざまな経験を持つメンバーが活躍する組織に
――チームで働くうえで大切にされていることは何ですか。
岸井:
調達改革チームには省庁出身者や民間出身者だけでなく、弁護士や裁判官といった法律に詳しいメンバーもいるなど、さまざまなバックグラウンドを持つ方がいます。
役職や経験だけで正しいと判断するのではなく、それぞれが思ったことや知見をしっかり伝え合って議論し、多くの人のためになる仕組みをつくっていくことを大切にしたいです。
玉置:
デジタル庁の場合、民間出身者が多いのも特徴です。
省庁出身者にとって国会対応や調達は当たり前ですが、民間出身者にとってはそうではない。逆に、民間出身者は省庁出身者にないユーザー視点を持っています。それぞれの強みを生かすのも大切にしていますね。
――MVVという観点で、業務の中で意識されてきたことはありますか?
門馬:
官と民それぞれの立場のヒトが一緒に議論するため、「どの立場で考えるべきなのか」という問題に突き当たることがあります。
そんなときは、バリューの中にある「一人ひとりのために」という言葉を思い出しています。この国とともに歩む一人ひとりの立場で考えると、どういう判断が望ましいのかを考えて結論を出すようにしています。
岸井:
MVVは重要な指標になる言葉だと思います。私たちのチームが取り組んでいるサービスの向上や素早い調達システムの構築、適切な税金の使い方、公平性や透明性を確保するのは、中長期でみるとすべて国民の利益になること。
バリューの中にある「常に目的を問い」という言葉を大切にし、事業者のためでも行政職員のためでもなく、あくまで「国民がサービスを早く簡単に享受できる仕組みを構築すること」に向かって頑張りたいです。
成島:
今回受賞したのは「Startup Award」。私たちのチームが取り組んでいるのはゴールが見えないことばかりなので、さまざまな方の知見をいただきながら、出口にたどりつけるようにしていかなければいけません。
一つひとつの仮説が正しいかを常に問いながら、スタートアップのように早いサイクルで方向性を改善し、業務に取り組めたらと思っています。
――最後に、これから取り組んでいきたいことや目標を聞かせてください。
門馬:
調達は、国にとって最も価値あるモノを取得する手段です。デジタル庁として、迅速かつ効率的に、透明性や公平性をもって業務に努めていきます。
成島:
あまりシステムに詳しくない人でも使えるような調達システムを作りたいですね。デジタル庁が先進的な取り組みをしていく中でも、この気持ちは忘れずにいたいです。
玉置:
私は、理由のない前例主義を打破したいです。しっかりと理由を突き詰めれば、「何のためにやっているのか」を解決できますし、民と官の歯車がうまく回ると思うので。いかに理由を探求するかということを任期中のミッションにしたいと思っています。
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