新卒向けイベントレポート:デジタル庁で仕事をするって、どんなイメージ?
2023年3月1日、デジタル庁は「霞が関OPENゼミ」を開催しました。 当日は総勢87名の学生の方々にご参加いただき、デジタル庁の概要説明、オフィス見学、職員との座談会など、リアルなデジタル庁を知ってもらうためのさまざまなコンテンツをご用意しました。改めまして、ご参加いただいた皆さまには感謝申し上げます。
本記事では、当イベントに参加いただいていない皆さまにも「デジタル庁で仕事をするイメージ」を持っていただけるよう、当日の内容の一部をご紹介したいと思います。
多様な人材が混ざっている前例のない組織、だから大変であり面白い
デジタル庁は、「誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化を。」をミッションとして掲げ、2021年9月1日に設立された最も新しい官公庁です。
職員数は現在約800名が在籍。省庁、自治体、民間企業などから様々な人材が行政のデジタル化を担うために集まっており、組織構成としては全体の約4割を民間企業出身者が占めるという特徴があります。
そのような、新しく、官民が手を取り合いながら一緒にルールを決めて仕事を創り上げていく環境の魅力について、CTO(Chief Technology Office:最高技術責任者)の藤本 真樹が自らの経験を語りました。
藤本:
私は、CTOとして、行政組織のプロダクトシステム開発に携わっています。デジタル庁に参画したのは、2021年9月のデジタル庁発足時で、民間人材として参画しました。
デジタル庁は発足当初から多くの行政官、民間人材が集まって、さらにそこに日本の行政組織には存在しなかったCTOやCPOという役職の人間が入ったので、「まずは何をすべきか」という問いの答えを探しながら仕事を進める、というような状況でした。
デジタル庁はまだまだ発足間もない組織です。そのため、決まっていないことなども多々あり、「自分は何をすべきだろうか」ということを、自問自答したり、周りと相談をしながら仕事を創り上げる必要があります。
そこにはもちろん大変である一面もありますが、一方で面白い環境とも言えます。まだまだこれからの組織ですので、そのような環境を楽しめる方と仕事ができると嬉しいですね。
また警察庁出身でCISO(Chief Information Security Officer:最高情報セキュリティ責任者)を務める坂 明は、民間人材と一緒に仕事をする中で、仕事に対するスタンスについて影響を受けたといいます。
坂:
私たち公務員は、これまで「国民のために奉仕する」という気持ちで仕事をしてきました。
しかし、民間人材の方々と仕事をする中で、「顧客体験を第一に考えて仕事をする」という考え方を教えてもらいました。これは民間企業のビジネスにおける根幹となる部分ですね。
結果、現在は「国民体験」を第一に考えるというスタンスで、今は仕事ができています。このような点も、多様な人材が集まるデジタル庁ならではの魅力かと思います。
1億3,000万人の課題を扱う、というスケールの大きさ
デジタル庁が手掛けるサービスは、その多くが国民全員に影響するものばかり。いわば1億3,000万人が抱えている課題を取り扱う仕事であり。このような大きなスケールの仕事に取り組むことが出来る環境はなかなか存在しません。
座談会に登壇したCPO(Chief Product Officer:最高製品責任者)水島 壮太は、「日本の遅れているデジタル化を前に進める仕事。日の丸を背負っている感があって、非常にやりがいがある。」と話し、自らの職種であるプロダクトマネージャーという職種とその仕事について、以下のように話しました。
水島:
皆さんの日常生活のなかで、行政のシステムを使って、使いにくさや分かりにくさを感じた経験が一度はあるのではないでしょうか。
場合によっては、「これは税金の無駄遣いじゃないか」と思うようなこともあったかもしれません。
デジタル庁のミッションは、1億3,000万人の全国民に関わりのある行政システムを、テクノロジーやデザインを活用し、よりよいプロダクトへと変えていくことです。そして、皆さんが感じられたようなストレスを少しでも減らすことです。
そのために、テクノロジー、デザイン(UX)、ビジネスの領域において一流の専門家と会話をして、どうやったら日本のデジタル化を進めることが出来るのか、そのためにどのようなプロダクトを作ったらいいのかということを日々議論しています。
プロダクトマネージャーは、日本ではまだあまりなじみがないですが、米国ではGAFAをはじめ大手IT企業では一般的で、米国のMBA卒業者の間では今一番人気の高い職種でもあります。
テクノロジー、デザイン、ビジネスを総合的に理解し、これらを融合させて顧客にとって価値のあるプロダクトを作ることが、その役割です。
デジタル庁にはもちろんそれ以外の職種もたくさんありますが、皆さんにはぜひどの職種においても、テクノロジーとデザインを学んでいただき、遅れている日本のデジタル化を進めることにコミットしていただきたいと思っています。
また、クリエイティブディレクターの鈴木はこう続けます。
鈴木:
私は、クリエイティブディレクターという職種の仕事をしています。デジタル庁のプロダクトが国民の皆様にとってどういうものなのかということをわかりやすく伝えるために、何をすればいいのか。
デジタル庁というブランドが、国民の皆様にとって有益であると受け止めていただけるために、どのように伝えればいいのか。そんなことを、チームメンバーと日々考えています。
私は以前、広告会社に勤務していて、民間企業の広告宣伝のお手伝いをしていました。
たとえば、「この車を売りたい」という目的に対して、その特定のターゲット(対象者)が誰で、どんなものを好むか、などということを調べたり、深めたりしていきます。
しかし、デジタル庁では「国民全員」がターゲットになります。特定の誰かではないのです。国民全員=1億3,000万人の課題解決をするという仕事はとても本質的であり、民間企業においては絶対に出来ないことです。
そのような経験ができることは、デジタル庁で仕事をする魅力の一つだと思います。
デジタル庁のフレキシブルな働き方
前述の通り、デジタル庁には多様なメンバーが在籍しています。それはスキルや経験という観点ではもちろん、働き方も例外ではありません。
フルタイムで働いている職員もいれば、他の仕事と兼業をしている職員もいます。週2日は民間企業で経営幹部として勤務し、残り3日はデジタル庁で仕事をする、などと柔軟な働き方を選択する人も増えてきました。
また働く場所も多様になってきていて、最近では地方に在住したまま勤めている職員がいたり、米国ロサンゼルスに在住している職員もいます。
その中で、特にイベントで質問の多かった「テレワーク率」と「Slack利用」の話を、総務省出身の渡辺が語りました。
渡辺:
デジタル庁では、フレキシブルな働き方をする環境が整っています。オフィスはフリーアドレスが進んでおり、テレワーク率は庁内全体で約40%ともいわれていますが、私の周りでは感覚的には60%~70%くらいかなという印象です。
出社の頻度は、人により様々で、週に1日、または2、3日出社する方もいれば、なかには月に1日程度という方もらっしゃいます。
私は新卒4年目になりますが、総務省からの出向でデジタル庁に勤務し、人事やシステム開発、国会対応など様々な仕事をしています。
直近では、デジタル庁の統括官に提案が通り、テレワークには必須のツールともいえる、Slackの全庁導入に向けて日々奔走しています。
このように、若手が大きな裁量のもとで業務を推進できるのは、新しい組織であるからこそだと感じます。行政官がSlackの導入を推進しているというのは、なんともユニークですよね。
たとえば、行政官はかつて、国会の会期期間にはオフィスに待機して、翌日朝まで国会対応の準備に備えるというような慣習がありました。しかし最近では、チャットツールのおかげですごく環境が改善されましたね。
コミュニケーションがしやすくなったことで作業効率が上がり、遠隔での作業が可能になり、一度自宅に帰り、夕食を食べながら、テレワークで夜必要な作業をする、というようなフレキシブルな働き方が実現できています。
今後もより、職員が働きやすい環境を作っていきたいです。
余談ですが、民間企業同様、Slack上でのコミュニケーションはとてもフラットです。職員同士がニックネームで呼び合ったりもしています。私はBenと呼ばれていて、その延長で、オフィスでもCxOの方から気軽にBenと呼んでいただくようになりました。
「一緒に創り上げたい」と考える人には最適な環境
デジタル庁は、まだ出来立ての新しい組織です。歴史が浅いので、色々と決まっていないことがあったり、不具合が生じることもあります。だからこそ、自ら提案をすることを楽しめる人にはとても魅力的なフェーズなのではないかと思います。CTOの藤本、CPOの水島は、デジタル庁の環境をこう語ります。
藤本:
デジタル庁で仕事をしていると、「これどうするんだっけ?」、「これってないの?」、「これどうなっているの?」というように、これから決めていかなければいけないことが転がっています。
ある種、カオスな環境。でも、それをちょっと楽しめる方って少なくないように思います。これからの組織なので、一緒に組織やルールを創っていくというマインドを持っている方が向いているのではないでしょうか。
また、官公庁は民間企業と違って売上という指標がありません。何か新たにプロダクトを出した際に、売上数値というフィードバックを得られない中でも、「より良くしていこう」というモチベーションを保ちながら、モノ作りが出来る方と一緒に仕事が出来ればいいなと、私は考えております。
水島:
私はデザイン、テクノロジーを学ぶという姿勢を持った方に来ていただきたいですね。皆さんには、ビジネスのほかにテクノロジーも、デザインも学んでほしいと思っています。
とにかくテクノロジーとデザインを理解している人が日本には足りていません。あらゆる職種において、テクノロジーとデザインは大事になってきます。
デジタル庁で、ぜひそれを担う人になっていただき、一緒に遅れている日本のデジタル化を担って、明るい日本の未来を創っていくことが出来ればいいなと思っています。
学生からの質問が相次ぐなか、盛況のうちに座談会は終了となりました。現役のデジタル庁職員とのやり取りの中で、職場環境や働き方、仕事内容など、就活生の皆さんにとってデジタル庁への応募を考える一つの手助けになっていれば幸いです。
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興味をお持ちいただける方からの応募をお待ちしております。ご一読いただきましてありがとうございました。
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