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デジタル監就任3ヶ月。サービス開発とチームづくりについて

デジタル監の浅沼です。
デジタル監に就任してから約3ヶ月。皆さんが直接使うサービスと、それを開発、提供するチームづくりに注力してきました。それと並行して、現在進行している200以上あるプロジェクトの再確認や目標設定の再定義をおこなっています。デジタル庁の担う範囲が広く、デジタル庁がフォーカスすべき領域を定義することが予想以上に難しいことがわかってきました。

今日は、開発中のサービスからマイナポータルのリニューアルについてと、チームづくりの進捗について皆さんに共有します。

使いたいと思える「やさしい」サービスづくり

デジタル庁がめざすサービスは、利用者が「ストレスなく使いやすいと思える」サービスです。

前回も触れた、新型コロナワクチン接種証明書アプリは、私たちが目指すやさしいサービスの代表になると思ってます。いままで窓口に取りに行ったり、郵送で対応していた証明書が、スマホで数分で発行でき、利用者だけでなく職員の負荷も大幅軽減。社会的な意義も大きいサービスになりました。

証明書は7月末時点で900万枚。ダウンロード数750万回と短期間で多くの人に使われているだけでなく、アプリ評価はiOSで3.6、Androidで4.2という行政機関が提供するモバイルアプリとしては異例の高評価を得ています。

アプリダウンロード数、アプリ評価数、証明書発行数とアプリのUIが書かれた画像
新型コロナワクチン接種証明書アプリについての紹介

デジタル庁が関わるシステムやサービスは多岐にわたります。各府省と連携して整備するものも含めると1000以上にも及びますが、まずは国民の接点として利用者が最も多く認知度も高いマイナポータルの改善を行っていきます。

現状としてマイナポータルは、マイナンバーカードでログインすれば、30種類以上の申請手続きや、各種情報を確認することができます。
国民の4割近くが聞いたことがあるサービスですが、アプリ評価は低く、便利な機能もあり、使われていないサービスとなってしまっているのが現状といえます。
マイナンバーカードを持っているけれども、何に使うかわからない、とくに必要ないという声があるのを認識しています。これは、このマイナポータル自体が利便性を提供できていないことが原因の一つだと考えられます。

また、マイナポータルはこの数年で大幅な機能追加とUIの改善もおこなってきました。一方で、便利な機能がたくさんあるにも関わらず、まだ多くの国民に利用してもらえるような体験を提供できていない状況です。

目指すのはマイナポータルを利用したいから、マイナンバーカードをつくりたいという体験であり、単に「マイナンバーカードを作りましょう」ではなく、マイナンバーカードがあるとこんな便利ですというコミュニケーションが必要だと考えています。

マイナポータルの改善イメージ(左 改善前・右 改善後)の比較画像。従来のUIは情報量が多くどんな機能があるかわからず操作や入力が複雑。改善後は少ない情報で一目で分かりやすく簡単に使えるようにする。
マイナポータルの改善イメージ(左 改善前・右 改善後)

今後、便利な機能をつかってもらえるように、「みつける」「しらべる」「わすれない」をサポートするサービス提供を検討します。

3つのサポートのUIイメージが3画面並んでいる。左からみつけるをサポートするUI、しらべるをサポートするUI、わすれないをサポートするUI。
みつける、しらべる、わすれないをサポートするサービス提供(イメージ画像)

見つけるをサポート
少ない情報で、一目で分かりやすく、簡単に使えるサービス

調べるをサポート
医療費、薬剤情報、税情報などを簡単に確認できるサービス

忘れないをサポート
必要な手続きや進行中の手続きが一目でわかるサービス

インターフェースだけでなく、中長期視点では、システムもモジュール化して外部と連携しやすいシステムへと改修を行っていきます。

システムの改修イメージ(左 改善前・右 改善後)。改善前は個別の硬直化システム。改善後は連携できる柔軟なシステムの図解が書かれている。
システムの改修イメージ(左 改善前・右 改善後)

ぜひ、皆さんも現在のマイナポータルを使ってみて、ここを直して欲しい、ここが分かりづらい、など、フィードバックをいただければと思います。


枠組みにとらわれない「やわらかな」組織づくり

そして、チーム作りについてです。いままでにない、やさしいサービスを実現するためには、今までの枠組みにとらわれない「やわらかな」組織となることが求められると考えています。

まず、デジタル庁の仕事に誇りを持って、新しいことに挑戦しようというメンバーが集まっていることが、デジタル庁にとって一番の強みであると考えています。私はこの「人」を大事にしながら、職員の方々が取り組んでいる内容が確実に成果になるようにという仕組みづくりの部分にフォーカスしていきたいと思っています。

昨年末から継続して、組織改善のプロジェクトを実施してきました。デジタル庁noteでも組織改革プロジェクトについては詳しく書いていますが、徐々に成果が出てきている状況です。

民間企業出身者の採用も順調に進んでいます。2022年3月末に民間人材10名退職との報道がありましたが、実際、民間専門人材の任期満了前の退職は2名のみです。

最新組織サーベイの結果と職員が働いている様子の画像。デジタル庁で働くことに63%の職員が誇りを感じている。バリューについて85%の職員が理解している。組織改善の取り組みに60%の職員が前向きと実感。職員の採用状況は計画通りに採用されている。
最新組織サーベイの結果

現在、業務や各省庁との調整を行う行政人材不足が課題ですが、これは霞ヶ関全体の課題と認識しています。

デジタル庁が今後目指すのは、官や民の垣根のない組織で、どちらかじゃないとできないという仕組みをなくしていくことです。

現在デジタル庁では国会対応業務などもチャットツールでコミュニケーションを行っていたり、政務や幹部も含めてレクはリモートで行っています。引き続き、霞ヶ関の働き方のパイロットケースになるように、働きやすい環境や仕組みを整えていきます。

今までの霞ヶ関の働き方とデジタル庁の働き方の比較が書かれている。今までの霞ヶ関は慣例的、選べない、外で学ぶ働き方。デジタル庁は効率的、自由があり業務で学ぶ働き方と書かれている。
今までの霞ヶ関の働き方とデジタル庁の働き方

前回のnoteでも書かせていただきましたが、デジタル庁の役割は「日本のデジタル基盤を今後5年で整備して、民間企業や行政機関から、国民や企業がうれしいと感じるサービスが次々に生まれてくる社会をつくる」ことであると考えています。

これを実現するためのサービスとしてデジタル庁が目指すのは、やさしいサービスです。そしてそれを支えるのは、やわらかな組織です。

引き続き、この目指すサービス、組織の実現にむけて取り組みを進めていきます。


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